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【獣医師執筆】猫が吐く毛玉の原因は?毛玉のケアはどうすれば良い?

【獣医師執筆】猫が吐く毛玉の原因は?毛玉のケアはどうすれば良い?


猫飼いなら身近な「毛玉」問題。毛玉を猫が吐いているのを見ると不安になる方もいらっしゃると思います。

多くの飼い主さんが悩まれている毛玉をテーマに、気を付けるべきことや、日常ケアのやり方について、深掘りしていきたいと思います。

猫が吐く毛玉の塊の原因と正体は?

一般的に、猫はきれい好きな生き物です。ただ、人間のように毎日お風呂に入るわけではないため、自身の体を一生懸命舐めることで毛づくろいします。

また、多頭飼いの場合には、お互いに毛づくろいをしている風景もよく見かけることでしょう。

猫の舌はザラザラしており、クシのように毛をとかし、毛並みを整えます。その際、絡めとった毛を飲み込みます。

多くの場合、飲み込んだ毛は消化されずに、胃の中で絡まって毛玉として吐き出されます。


● 猫が毛玉を吐いても大丈夫?

個体差はありますが、猫はもともと吐きやすい動物とされています。

便が緩かったり、逆に便秘となったり、あるいは食欲がなくなったりというような症状がなく、吐いたものが毛玉(食後であればフードや胃液が混ざることもあります)で、頻度が週に1回程度であれば、あまり気にしなくて良いでしょう。


しかしながら、吐きたいのに吐けないような状態が続いたり、元気や食欲がなかったり、普段と違う様子が見受けられる場合には動物病院へご相談ください。

また、あまりにも毛玉を吐く頻度が多い場合には、皮膚疾患など何らかの原因により毛がたくさん抜けている可能性がありますので、獣医師にご相談されると良いと思います。


なお、毛づくろいの時間が長くなり、毛玉を頻繁に吐き出すこともあります。

皮膚疾患がなくても心因性(何か不安なことがあったり、ストレスが溜まっていたりすること)の脱毛を起こしている場合には、毛玉を吐く頻度が上がることもあります。


● 毛玉を吐きやすい猫や時期は?

基本的には、長毛種(毛足の長い猫)は吐きやすい傾向にあります。

長い毛は短い毛に比べると絡まりやすく、同じ本数が抜けたとしても体積が増えるためにこのようになると考えられています。

また、換毛期という毛の生え変わり時期(春先や秋頃など季節の変わり目に多い)には毛が抜けやすくなるために毛玉を吐きやすくなります。

毛玉を吐き出せないとどうなる?

うまく吐き出せずに、毛玉が体内に留まり続けると、胃の中でどんどん大きくなってしまい、食欲がなくなったり元気がなくなったりすることがあります。

また、腸管へ流れて行ってしまい、どこかで詰まってしまうと、腸閉塞といって腸管が詰まってしまう恐れがあります。


● 毛球症とは?

毛玉を吐き出せずに胃の中に溜まって消化器症状(嘔吐や食欲不振)を起こしたり、腸管で詰まり腸閉塞を起こしてしまったりすることを毛球症と呼びます。


● 毛球症の治療法は?

症状の度合いにより治療法は様々ですが、誤食やほかの病気の可能性が低く、消化器症状が軽度の場合には点滴やサプリメントを使用して、経過観察します。

しかし、猫が動物病院へ来院する時は症状が進んでいるケースが多く、消化管に詰まって閉塞を起こしているような場合には、お腹を開けて手術を行わなければならないことがあります。


※初めから毛球症と診断されて処置を受けるよりも、元気がなくて嘔吐や下痢などの消化器症状がある際に、各種検査実施の上で開腹手術を行った結果、摘出されたものが毛玉であったといったケースの方が多い印象があります。

毛玉を吐くのを防ぐには?

もともと毛玉は吐くもの、猫は吐きやすい動物である、とは言うものの、実際嘔吐しているのを見ると驚いてしまうと思います。

日頃の生活を少し見直してみることにより、改善できることもありますので、お困りの際には試してみてくださいね。


● 毛玉のケアができるフードやサプリメント

「毛玉」「ヘアボール」とパッケージに表示しているようなフードに変えてみるのも良いかもしれません。

これらのフードは毛玉のケアに特化しており、多くは食物繊維が豊富に含まれております。

消化管の運動に働きかけることにより、糞便中へ排出されるように促すものですので、結果的に毛玉を吐くのが少なくなることを期待できます。


また、流動パラフィンやワセリンの含まれているようなサプリメントもあります。

これらは消化されずに消化管に留まり、消化管内の便の滑りが良くなることで、毛球症の予防に役立ちます。

香りが付いているものが多く、おやつのように与えることができますが、猫によっては好まない場合もあるため、注意が必要です。


● 日々のブラッシング

まず、ご自宅でできることは日頃からブラッシングを行うことです。

抜け毛を取り除き、猫が飲み込む毛の量を減らすことで、毛玉を吐くことを防げる可能性があります。

ブラッシングをする際にコームを好む猫やゴム製のブラシを好む猫など個体差がありますので、好みのブラシを探してあげると良いでしょう。

まとめ

猫はもともと吐きやすい動物であり、毛玉吐きは猫飼いにとっては身近な現象です。

毛玉を吐き出すこと自体はあまり問題になりませんが、その頻度が多かったり、回数に大きな変化があったりする場合には、獣医師にご相談されることをおすすめします。

また、嘔吐は他の病気が隠れている可能性もあります。嘔吐物の中に異物や血が混じっていないか、よく観察してあげてください。


猫の健康を維持するためには、日々の観察やケアが重要です。

汚れが気になるときには、濡れたタオルやお手入れシートで優しく拭いてあげましょう。


抜け毛が増えるタイミングとしては、換毛期のほか皮膚疾患の可能性もあります。

痒そうにしていないか、皮膚に変わったところがないか観察し、必要に応じて獣医師にご相談されると良いでしょう。また、抜け毛はストレスに影響されることもあります。

猫はストレスを感じやすい生き物ですので、リラックスできる環境づくりを心がけてください。


毛玉吐きは個体差がかなり大きく、毛づくろいの頻度や時間、食事内容、毛の長さ等が多分に影響し、生活環境によっては全く吐かないケースもあります。

毛玉に限らず、その子にとって「いつも通り」ではなかった場合には、早めに獣医師にご相談ください。


執筆者:石川愛美

日本獣医生命科学大学を卒業後、都内動物病院にて臨床獣医師として勤務。

「予防獣医療」をもっと身近にすることを目指し、2019年に往診を専門とする動物病院「Animal Care Clinic TOKYO」を開設。

当たり前に存在する「いま、ここに、ある幸せ」を大切にして、健康寿命を延ばすために、食餌選びからセカンドオピニオンまで、飼い主の抱える小さな不安の解消に日々努める。

あくまで動物は「ご自宅で」健康を維持するものであり、その動物のことを一番よく理解し、寄り添うことができるのは、獣医師ではなく、いつも一緒に暮らしている「ご家族」であると唱えており、予防の大切さや日常の中で健康状態を見ることの重要性を発信している。

20年以上、大型犬(フラットコーテッドレトリーバー)とともに生活している。

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