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上皮小体機能亢進症

上皮小体機能亢進症

犬の上皮小体機能亢進症とは

上皮小体は副甲状腺ともいわれ、喉のあたりにある甲状腺についており左右で2対、4個存在します。


上皮小体機能亢進症は上皮小体の異常、腎臓の異常、栄養不良によるもの(くる病になる原因のひとつ)があります。


その中でも、ここでは主に上皮小体の異常によるもの(原発性上皮小体機能亢進症)について説明します。


<上皮小体(副甲状腺)の模式図>

上皮小体(副甲状腺)の模式図

上皮小体(副甲状腺)は血中のカルシウム(Ca)濃度を上昇させるホルモンを分泌します。

このホルモンは上皮小体(副甲状腺)ホルモン(PTH)、またはパラソルモンと呼ばれています。

上皮小体機能亢進症(じょうひしょうたいきのうこうしんしょう)は、このホルモンが過剰に分泌される病気です。


上皮小体ホルモン(PTH)には骨や腎臓に働きかけ血中のCa濃度を上昇させる働きがあります。


正常時の上皮小体ホルモン(PTH)と血中Ca濃度の関係は次のようになります。


<正常の場合>

①血中Ca濃度低下(↓↓)⇒上皮小体ホルモン(PTH)の分泌促進(↑↑)

②血中Ca濃度上昇(↑↑)⇒上皮小体ホルモン(PTH)の分泌抑制(↓↓)


しかし、上皮小体自体に異常がある(原発性)上皮小体機能亢進症では、次のようになります。


<異常な場合>

血中Ca濃度が上昇(↑↑)➡上皮小体ホルモン(PTH)濃度も高いまま(↑↑)(分泌が抑制されない)

犬の上皮小体機能亢進症の症状

上皮小体機能亢進症の症状はわかりにくく、軽度であれば症状として出ないことも多いです。

症状が現れても、一般的な症状が多く劇的でないので受診に至らず、ひそかに病気が進行しているということもよくあります。


上皮小体機能亢進症の症状は以下のようなものが挙げられます。


<上皮小体機能亢進症の主な症状>

・よく水を飲み尿量が多い(多飲多尿)
・だるそうにしている(元気がない)
・疲れやすい(動きたがらない)
・食欲不振
・筋肉の萎縮
・うまく動けない
・震え
・嘔吐
・便秘
など


他には高Ca血症の影響により、膀胱結石や膀胱炎が起こることがあります。

犬の上皮小体機能亢進症の原因

上皮小体機能亢進症には、上皮小体の異常(原発性)と他の病気により引き起こされたもの(続発性、二次性)があります。


上皮小体の異常(原発性)では上皮小体の腫瘍(良性:腺腫、悪性:腺癌)や上皮小体の細胞が過剰に増えたもの(過形成)があります。

悪性腫瘍である上皮小体腺癌はまれです。


また、上皮小体の異常が原因の(原発性)上皮小体機能亢進症において発症しやすい平均年齢は10~11歳と老齢で、4~17歳で報告されており、性差は特にみられません。


<原発性上皮小体機能亢進症の主な原因>

・上皮小体腺腫
・上皮小体腺癌(まれ)
・上皮小体の腺腫様過形成


他の病気により引き起こされたものには、腎性や栄養性があります。

腎性では慢性腎不全などで、栄養性では慢性的なカルシウム(Ca)やビタミンDの不足で血中Ca濃度が低下します。

それにより、上皮小体ホルモン(PTH)の分泌が持続的に刺激されることで上皮小体機能亢進症が引き起こされます。


上皮小体機能亢進症のときの主な検査は以下の通りです。


<上皮小体機能亢進症の主な検査>

・血液検査
・血清イオン化カルシウム(Ca)測定(外部機関へ依頼)
・血清上皮小体ホルモン(PTH)測定(外部機関へ依頼)
・X線検査
・超音波検査
・尿検査
など


これらのさまざまな検査の結果や症状、経過を踏まえて総合的に判断して診断を行う必要があります。


上皮小体自体に異常がある(原発性)上皮小体機能亢進症では、血中Ca濃度、血中上皮小体ホルモン(PTH)濃度のどちらも高いことが多いです。


また、血液検査での高Ca血症が糸口となり、結果的にこの病気が分かることも多いです。

高Ca血症では悪性腫瘍(リンパ腫)など他の原因も考えられるので、上記の検査以外にも必要であれば他の検査も行われます。

犬の上皮小体機能亢進症の予防方法

上皮小体の異常による上皮小体機能亢進症の予防方法はありません。


たとえ上皮小体機能亢進症でも軽度であれば症状に出ないことがよくあります。

さらに、病気の進行により症状が出てもこの病気に特徴的な症状というのはあまりみられません。

よって、その多くが健康診断や他の理由で行った血液検査で発見されます。


Caなどの項目を含む血液検査を健康診断のうちのひとつとして定期的に行うことで隠れている異常が見つかるかもしれません。

獣医師に気軽に相談してみましょう。

犬が上皮小体機能亢進症になってしまったら

上皮小体自体の異常が原因で上皮小体機能亢進症になってしまったら、外科的治療(手術)で上皮小体を取り除きます。

このとき、4つあるすべての上皮小体を取ってしまうと永久的な低Ca血症になるので、少なくとも1つは残します。


高Ca血症や低リン(P)血症が重度であればそれに対して治療を行い、犬の状態が安定してから手術に臨むこともあります。


術前に異常な上皮小体が重度の高Ca血症を起こしていた例ほど、上皮小体の切除後(術後)に重度の低Ca血症に陥る傾向が高くなります。

低Ca血症は重度になるとけいれんなどが起こり、最重度では死に至ることがあります。


術後の低Ca血症に対処するため1週間~血中Ca濃度がコントロールできるまで入院し、細かく血中Ca濃度を測定します。

術前の検査結果や術後の経過により必要であれば低Ca血症に対する治療が行われます。


高Ca血症による腎臓への石灰沈着などの影響がなければ、長期的な経過は良好です。

しかし、退院当初はこまめに血中Ca濃度の動きを観察し、治療が必要になる場合もあります。


術後、年数が経過してから気付かないうちに低Ca血症になっていた例もあるので、獣医師の指示を仰ぎながら、健康診断などで定期的なチェックをすることがより良い状態を保つ手助けになります。

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