猫の皮膚血管炎とは
皮膚血管炎とは、皮膚の小さな血管に炎症が起こり、脱毛や内出血、皮膚の脱落などがみられる皮膚の病気です。
何らかの原因により、免疫に異常が起こり、皮膚血管炎を引き起こすと考えられています。
皮膚血管炎は、猫での発症は犬よりも少なく、あまり見られません。
猫の皮膚血管炎の症状
皮膚血管炎に特徴的なのは、耳の縁の皮膚が脱落する症状です。
同時に脱毛も起こることが多く、ぼそぼそと毛が抜けて、耳の縁がギザギザとした見た目になります。
以下が皮膚血管炎で見られる症状です。
皮膚血管炎の症状
- 脱毛
- 紫色の斑点
- 耳の縁の皮膚が部分的に落ちる
- 潰瘍(えぐれた傷)
など
これらの症状は、耳だけでなく、足先や尾の先、体などにも現れることもあります。
重度であれば、食欲や活動性の低下、発熱や痛みなどが現れたりします。
猫の皮膚血管炎の原因
皮膚血管炎の原因は、
- 細菌やウイルスなどの感染
- アレルギー
- 慢性炎症
- 薬剤
- 腫瘍
などで、免疫異常が引き起こされることにより起こります。
ただ、直接的な原因が何かを特定できることはほとんどありません。
皮膚血管炎になる詳しい仕組みとして、細菌やウイルスなどの病原体などとそれに対する抗体が結合したものが、血管に沈着して、炎症につながると考えられています。
皮膚血管炎の症状は、皮膚症状が現れる他の自己免疫疾患や、細菌や真菌(カビ)、寄生虫感染などによる皮膚疾患と区別する必要があります。
よって、一般的な皮膚疾患や、血液検査が行われることもあります。
以下が皮膚血管炎の検査です。
皮膚血管炎の検査
- 皮膚検査
- 生検/病理組織検査
など
生検とは、皮膚の一部を切り取って採取することです。
病理組織検査は、採取した組織を顕微鏡で観察し、組織や細胞の状態を調べます。
原因の特定や他の疾患の可能性の除外のために、血液検査や画像検査などの他の必要な検査を行うことがあります。
猫の皮膚血管炎の予防方法
皮膚血管炎の明確な予防方法は特にありません。
皮膚におかしい様子が見られたら、早めに動物病院に連れて行きましょう。
猫が皮膚血管炎になってしまったら
皮膚血管炎の治療は、原因となっている病気の治療や、疑わしい薬剤の投与中止などがまず行われます。
軽度の皮膚血管炎であれば、ペントキシフィリンという薬を投与します。
重度の皮膚血管炎であれば、プレドニゾロンなどの免疫抑制剤を使用します。
他には、抗炎症剤と抗生剤を使用することもあります。
免疫抑制剤使用の際には、細菌感染などの可能性の除外や、全身的な潰瘍などに細菌感染が起こらないように注意して使用する必要があります。
治療後の経過については、原因や重症度により変わると考えられますが、猫の皮膚血管炎の経過の報告はあまり多くなく、はっきりとわかってはいません。
日ごろから全身の状態をこまめに見ておき、異常があれば、動物病院を受診しましょう。