猫のノミ刺咬性皮膚炎とは
ノミ刺咬性(しこうせい)皮膚炎とはノミに咬まれたことによる傷が刺激になったり、その傷から細菌感染したりして起こる皮膚炎です。
ノミ刺咬性皮膚炎と類似していますが全く病態が異なるものとしてノミアレルギー性皮膚炎があります。ノミアレルギー性皮膚炎はノミの唾液がアレルゲンとなり皮膚がアレルギー反応を起こしているので、激しいかゆみがみられアレルギーを抑える治療を行う必要があります。
一方、ノミ刺咬性皮膚炎はノミに咬まれたことによる物理的な刺激からきているので、ノミ予防を行います。
ノミに咬まれることで起こるので、屋外に出る機会のある猫や屋外に出る機会のある動物の同居猫などで多く見られます。
ただし、暖かい室内ではノミが繁殖することもあり屋内であっても注意は必要です。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の症状
ところどころノミに咬まれた後が毛の中に見えることがあったり、その傷が刺激になり気になってかいたりする猫もいます。背中や腹部などの毛をかき分けるとノミが見つかることもあります。
ノミ刺咬性皮膚炎の症状は以下のようなものがあります。
ノミ刺咬性皮膚炎の症状
- ノミに咬まれた跡がある
- ときどき体を気にしてかくことがある
- 皮膚症状があり、ノミまたはノミの糞がみつかる
など
ノミの糞はボールペンのペン先で点描したときのような大きさの黒い糞です。毛をかき分けたときに小さく細かい黒い粒があるときはノミがみられなくてもノミが寄生している可能性が高いです。
ただ、小さく細かい黒い粒がノミの糞でないこともあります。それらがノミの糞かを確認するために、水に湿らせたティッシュでふき取りティッシュの上で赤くにじむか確かめましょう。赤くにじむとノミの糞です。
なお、ノミ刺咬性皮膚炎は、ノミの唾液などがアレルゲンとなるノミアレルギー性皮膚炎と異なり、それほど激しい症状は出ません。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の原因
ノミ刺咬性皮膚炎の原因はノミの寄生です。
ノミ刺咬性皮膚炎の検査は以下のようなものがあります。
ノミ刺咬性皮膚炎の検査
- 視診
- 触診
- 皮膚検査
など
ノミ刺咬性皮膚炎が明らかである場合、皮膚検査は行われないこともあります。
猫のノミ刺咬性皮膚炎の予防方法
ノミ刺咬性皮膚炎の予防方法は、完全室内飼育と定期的にノミ・ダニの予防を行うことです。
また、ノミ寄生がみられたときやノミが室内にいる可能性が高いときは、動物へのノミ駆除薬の投与だけでなく、飼育環境(いつもいる部屋など)でのノミ駆除を行いましょう。
皮膚や動物の様子を定期的に見て、おかしいことがあれば動物病院に連れて行きましょう。
猫がノミ刺咬性皮膚炎になってしまったら
ノミ刺咬性皮膚炎と診断されたら、ノミの駆虫薬を投与します。
ノミを駆除できれば、ノミに咬まれる刺激などがなくなるので、細菌感染が起こっていなければ症状は治まります。
細菌感染がみられた場合は、抗生剤を使用することもあります。
定期的なノミ・ダニ予防により、ノミ寄生の機会は大幅に抑えられます。
屋外に出ている猫などは特に定期的にノミやダニの寄生がないかをチェックし、いつもと違う様子がみられたら動物病院を受診しましょう。