猫のエプリスとは
エプリスは、歯を支える靭帯(じんたい)から発生する歯肉の良性腫瘍です。
犬のエプリスはよくみられますが、猫での発生はまれです。
猫では、複数か所にエプリスが発生することがあります。
エプリスは主に、
- 線維性
- 骨性
- 棘(きょく)細胞性
に分けられます。
他にも、巨(きょ)細胞性エプリスと呼ばれる分類もあります。
猫で最も多くみられるのは、線維性エプリスです。
猫のエプリスの症状
エプリスは、歯肉が盛り上がったような見た目になります。
よだれが多くなったり、口臭や出血、食事を食べにくそうにする様子などがみられたりすることもあります。
分類分けによるそれぞれのエプリスの説明は、以下のようになります。
線維性エプリス
一部が細くなって、その先に塊があるような有茎状になっていることが多く、表面は上皮に覆われた硬い塊です。
骨性エプリス
歯肉につながっている腫瘍の根元の範囲が、線維性エプリスより広い傾向にあります。
棘(きょく)細胞性エプリス
棘細胞性エプリスは、下顎あるいは上顎まで侵し広がることがあります。 臓器などへの転移はみられませんが、他のエプリスの型に比べて、骨の侵し方や動きは活発です。
なお、巨(きょ)細胞性エプリスは線維性エプリスより成長が早く、腫瘍も大きくえぐれたような傷(潰瘍:かいよう)になりやすいです。
また、棘(きょく)細胞性エプリス以外のいずれも、歯を侵すことはあまりありません。
猫のエプリスの原因
エプリスの原因はよく分かっていません。
エプリスの検査は次のようなものがあります。
エプリスの検査
- X線検査
- 病理組織検査※
- CT検査
など
※病理組織検査とは、組織を採取し、標本を作り顕微鏡でどのような状態か、どのような疾患なのかを調べる検査
病理組織検査のための生検で、全身麻酔が必要になる場合があります。 そのため、麻酔をかけて安全かを確かめるために血液検査などの術前検査を行うこともあります。
猫のエプリスの予防方法
エプリスの原因がはっきり分かっていないので、明確な予防方法もありません。
全ての腫瘍にいえることですが、早期発見により外科的切除が容易に行え、十分な治療効果を得られることも多いです。 定期的に口の中をチェックし(可能であれば奥まで)、異常があればすぐに動物病院に連れて行きましょう。
猫がエプリスになってしまったら
エプリスの治療は、外科的切除が一番の選択肢になります。
なお、棘(きょく)細胞性エプリスに関しては顎の骨まで切除し、再発の可能性を低くします。 また、棘(きょく)細胞性エプリスでは、放射線療法を行うこともあります。
エプリスは良性腫瘍ですが、棘(きょく)細胞性エプリス以外でも、骨の侵し方や成長速度などによって、顎の切除など、積極的な治療を選択することもあります。
口の中のできものや潰瘍は、発生部位が前側に近いと比較的分かりやすいですが、口の奥にあると唇をめくるなどしないと、分からないことも多いです。
もし可能であれば、あくびのときに口の中をみたり、唇を押し上げたりして、定期的に口の中をしっかり観察し、早期発見を心がけましょう。
さらに、エプリスは治療を行わないままにしていると大きくなり、食事などが難しくなることがあります。 口内腫瘍を見つけた際は、動物病院に連れて行き、獣医師と相談しながら、早期治療を行いましょう。