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犬の肉球の特徴
犬の肉球は、他の皮膚と同様、表皮、真皮、皮下組織で構成されています。
しかし他の皮膚と異なり、表皮は分厚い角質でおおわれており、皮下組織は脂肪や弾性繊維(エラスチン)、膠原繊維(コラーゲン)が混在したものとなっています。
子犬のころは肉球の表面は非常に柔らかく、成長していくにつれて、徐々に硬くなっていきます。
このように、肉球は皮膚とは異なる特徴を持っており、また、肉球ならではのさまざまな役割があります。
まずは、肉球の役割から見ていきましょう。
犬の肉球の役割は?

肉球は主に以下の3つの役割を持っています。
衝撃から足を守る
犬の肉球は、歩行時に犬の全体重を支え、関節や筋肉への衝撃や負担を和らげる働きをしています。
滑らずに歩く
犬の肉球は、表皮の部分が突起状となっており、これが滑り止めとして働いています。
このため、犬は凍った地面も滑らずにうまく走ることができ、また、急ブレーキなども可能となっています。
体温調節、地面からの影響を緩和
犬の肉球の内部は、動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)といって、毛細血管を通さずに動脈と静脈が直接繋がっています。
これにより、気温や体温の変化に合わせて体温調節が行われ、また、地面の熱や冷気による影響をある程度緩和することが可能です。
もちろん、炎天下の路上でやけどになったり、冷たすぎる路面で凍傷になったりすることもありますので、無理は禁物です。
肉球のトラブルと注意したいこと
大切な肉球ですが、体重を支える箇所でもあり、ケガをした場合に治るまでに時間が掛かります。また、そもそも再生能力が低いため、ケガが治りにくいという特徴があります。
以下のようなトラブルには注意していきましょう。
やけど、凍傷
炎天下のアスファルトや砂浜などは、想像以上に高温になっています。
また、凍結した路面は想像以上に冷たく、長時間そこに触れ続けることで凍傷になる危険性があります。
肉球はある程度の厚みもあるとは言え、やけどや凍傷になると、治りも遅く、ダメージが残ります。
真夏は、散歩の時間帯を調整して炎天下の路面を歩かないようにする。真冬や寒い日も同様に、冷えた路面を歩かないようにする。
などを心がけましょう。
指間炎(しかんえん)
指間炎とは、犬の指と指の間に炎症が発生し、赤くなったり腫れたりするものです。
汗や汚れ、雑菌の付着、アレルギー、ストレスなど原因はさまざまですが、細菌感染や刺激によって炎症が起こり、その部分に痛みやかゆみを感じることとなります。
こうなると、犬は気にして肉球をなめたり噛んだりするので、炎症がますますひどくなっていきます。
ケガ
歩行中に先の尖ったものを踏むなどすると、肉球の部分にケガが発生することがあります。
散歩の途中や散歩から帰ってきてしきりに肉球を舐めていたり、気にしているような場合は、出血や切り傷などのケガが無いか、確認しましょう。
また肉球は、体重を支える箇所でもあり、ケガが治りにくいです。
感染症などに繋がる恐れもあるため、ケガがひどくなる前に早めに対処する必要があります。
犬がしきりに舐める
トラブルを抱えていると、犬が気にして、そこを舐め続けることがあります。
舐めることで症状が悪化することも多いため、注意しましょう。
また、ストレスを感じている場合に、それを紛らわすために肉球を舐め、それがやめられなくなっていることもあります。
ストレスの原因を探り、そのストレスを取り除くよう、対処してあげましょう。
乾燥、ひび割れ
不調の一つとして、肉球が乾燥してカサカサになることがあります。乾燥がひどくなると、そこから人間と同様に「ひび割れ」になることもあります。
カサカサの状態で歩くことでひび割れを発生することもあります。
ひび割れたところは当然痛みを伴いますし、ひどいときには出血を伴うこともあります。
また、カサカサしたところやひび割れたところがあると、犬が気にして舐める原因にもなるため、注意が必要です。
肉球のケアの方法とポイント

清潔にする
やりすぎは厳禁ですが、まずは肉球を常に清潔にすることが大切です。
散歩から帰ってきたら、肉球、指の間を丁寧に拭き、汚れなどをきれいに取り除きましょう。
乾燥を防ぐ
乾燥していると、さまざまなトラブルに繋がるリスクが高まります。
肉球専用のクリームなどを使い、定期的なマッサージを兼ねて、乾燥を防ぎましょう。
散歩の際に注意する
散歩をする場合は、路面が熱すぎないか、寒すぎないかを確認し、やけどや凍傷が心配な場合は時間帯をずらすなどしましょう。
散歩の途中は、愛犬の様子をしっかりと観察し、不自然な動きや足を気にするしぐさが無いか、注意しましょう。
散歩から帰ってきたら、肉球の様子を観察して、傷やケガが無いか確認しましょう。
トラブルが無いか、しっかり確認
日頃から愛犬の様子を観察し、特にデリケートな肉球は直接目で見て、乾燥していないか、傷やケガ、炎症が起こっていないか、確認しましょう。
また、愛犬が同じ場所を気にして舐め続けていないか、歩き方など様子がおかしいところが無いかなども、日頃から丁寧に観察するようにしましょう。
まとめ
肉球は、さまざまな機能を持つ、犬にとって大切なところです。
しかし、ケガをしやすい、乾燥しやすい、刺激にとても弱いところでもあります。
日頃から清潔を心がけ、乾燥対策を中心に定期的なケアをしていきましょう。
また、肉球はケガや炎症なども長引く傾向があります。
肉球に気になるところが見られたら、早めの対処を心がけ、必要に応じて獣医師に相談するようにしましょう。