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上皮小体機能亢進症

上皮小体機能亢進症

猫の上皮小体機能亢進症とは

副甲状腺とも呼ばれる上皮小体とは、パラソルモン(PTH)という体内のカルシウム(Ca)濃度の調整をするホルモンを分泌しています。

上皮小体は喉のあたりにある甲状腺についており、左右に2対、計4個の上皮小体が存在します。


<上皮小体(副甲状腺)の模式図>

上皮小体(副甲状腺)の模式図

上皮小体機能亢進症(じょうひしょうたいきのうこうしんしょう)とは、上皮小体で分泌されるホルモン(パラソルモン)が過剰になり血中のカルシウム(Ca)濃度が上昇する病気です。

上皮小体機能亢進症は副甲状腺機能亢進症ともいわれます。


猫の上皮小体(副甲状腺)機能亢進症では、上皮小体が腫れて大きくなりしこりのように触れることも多いです。

上皮小体のある喉の甲状腺のあたりが大きくなっている場合は、甲状腺機能亢進症か上皮小体機能亢進症である可能性が考えられますが、上皮小体機能亢進症であることはまれです。


上皮小体機能亢進症には、下のように、
・上皮小体自体に異常のある原発性(げんぱつせい)上皮小体機能亢進症
・栄養の偏りや腎障害による二次性(続発性)上皮小体機能亢進症
があります。


ここでは、上皮小体自体に異常のある原発性上皮小体機能亢進症について説明していきます。

猫の上皮小体機能亢進症の症状

上皮小体機能亢進症は症状がみられないか、あっても激しくないので病的なものと気づかない場合も多いです。

そのため、いつの間にか病気が進行していることがよくみられます。

健康診断や他の病気での血液検査でCa値が高いことから思いがけず発見されることも多くあります。


猫の上皮小体機能亢進症では主に食欲不振と元気消失がみられます。

他にも多飲多尿や体重減少なども症状として現れます。


上皮小体機能亢進症の症状は以下のようなものがあります。


<上皮小体機能亢進症の症状>

・食欲不振

・元気がない

・よく水を飲み尿量が多い(多飲多尿)

・嘔吐

・体重減少

・便秘

など

猫の上皮小体機能亢進症の原因

上皮小体に異常のある原発性上皮小体機能亢進症の原因は以下の通りです。


<原発性上皮小体機能亢進症の原因>

・上皮小体過形成

・上皮小体腺腫

・上皮小体癌


上皮小体機能亢進症の検査は以下のようなものが挙げられます。


<上皮小体機能亢進症の検査>

・血液検査

・X線検査

・超音波検査

・血清イオン化カルシウム(Ca)測定

・血清上皮小体ホルモン(PTH)測定

・尿検査

など


血液検査での高Ca血症からこの病気が分かった場合は、悪性腫瘍(リンパ腫)などによる高Ca血症という可能性もあるので、血液中の上皮小体ホルモン関連ペプチド(PTHrP)値やFIV/ FeLV検査なども行います。


また、甲状腺の位置で喉のしこりが触れた場合は甲状腺機能亢進症の可能性も考慮するので、血中甲状腺ホルモン(T4)値も測定します。


他にも必要な検査があればその都度行われます。


原発性上皮小体機能亢進症と診断され、上皮小体の切除を行った場合は、その組織を病理組織検査に出し、原因を特定します。

猫の上皮小体機能亢進症の予防方法

上皮小体に異常がある原発性上皮小体機能亢進症の予防方法はありません。


上皮小体機能亢進症は早期発見・早期治療を行うことが大切です。

高齢猫では特に健康診断などで定期的に血液検査を行うと、症状が出ていないまたは分かりにくい段階でも異常を発見できることがあります。

猫の上皮小体機能亢進症になってしまったら

原発性上皮小体機能亢進症の治療の第一選択は、異常な上皮小体の外科的切除です。

4個ある上皮小体の内、可能な限り1個は残すように努力されます。

これは、全ての上皮小体を取ってしまうと永久的に低Ca血症が続き、生涯投薬と検査が欠かせなくなるからです。


また、外科的切除の前に輸液療法などで、高カルシウム血症などの改善が行われることが多いです。


手術後の血中Ca値の推移の予想は難しく、手術後も継続的に入院して血中Ca値が検査され、必要であれば投薬などによる処置が行われます。

他にも、腎臓の値や尿検査などその都度モニターとして必要な検査が行われます。


低Ca血症は進行すれば神経や筋肉の重篤な障害を起こすこともあるので、通院や定期的な検査など、獣医師の指示に従いましょう。


上皮小体機能亢進症は、症状が分かりにくく、飼い主様が自分で異常を見つけるのが難しいまたはかなり進行してから分かるということも多いです。

定期的な健康診断などを行い、早期発見・早期治療を心がけましょう。

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