猫の耳の腫瘍とは
耳の構造は、外耳、中耳、内耳に分けられます。
外耳は、耳介と、耳の穴の入り口から鼓膜までの耳の通り道である外耳道までを指します。
(鼓膜は中耳に含まれる)
外耳より奥に向かって、中耳、内耳があります。
猫の耳の腫瘍は、良性と悪性に分けられます。
また、猫では、腫瘍ではありませんが、鼻咽頭ポリープと呼ばれるポリープができることもあります。
鼻咽頭ポリープも慢性的な外耳炎、中耳炎、上部呼吸器症状を引き起こすこともあります。
猫の耳の腫瘍の症状
猫の耳の腫瘍は、耳介であれば、潰瘍(えぐれて傷になっている)や腫瘍が肉眼で確認できます。
外耳道の腫瘍であれば、
- 腫瘤(塊)が見える
- 耳ダレ(血が混ざることも)
- 耳から悪臭がする
-
かなりかゆがったり痛がったりする
- 気にしてひっきりなしに耳をかく
- 頭を振る
- 耳を触られるのを嫌がる、怒るなど
- 外耳炎がなかなか治らない
などの症状が現れます。
腫瘍が中耳以降に広がった場合、ホルネル症候群※などの神経症状が現れることがあります。
※ホルネル症候群とは、交感神経の障害により複数の症状が現れる状態。
猫の耳の腫瘍の原因
耳介にできる腫瘍として、猫で代表的なのは、
扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)です。
扁平上皮癌は耳道にも発生し、その他に猫の耳道の腫瘍では、耳垢腺癌(じこうせんがん)も発生します。
扁平上皮癌、耳垢腺癌のどちらも悪性腫瘍です。
良性腫瘍では、耳垢腺腫(じこうせんしゅ)や基底細胞腫などが挙げられます。
猫の耳の腫瘍の原因の詳細は、解明されていませんが、扁平上皮癌は、日光にさらされることなどが補助的な要因となっているのではないかと考えられています。
また、耳道の腫瘍では、慢性的な炎症により発生しやすくなるのではないかと考えられています。
耳の腫瘍の検査は、以下のようなものが挙げられます。
耳の腫瘍の検査
- 耳鏡検査
- 耳垢検査
- X線検査
- 細菌培養・感受性試験
- 耳内視鏡(ビデオオトスコープ)※
- CT検査/MRI検査
- 病理組織学的検査
など
※耳内視鏡は、特殊な設備が必要であり、実施できる動物病院は限られます。
上記以外にも、必要な検査があれば行われます。
猫の耳の腫瘍の予防方法
猫の耳の腫瘍では、特に明確な予防方法はありません。
ただ、耳道にできる腫瘍では、慢性的な炎症が補助的な要因となる可能性もあるので、慢性的な外耳炎を放っておかないことが大切です。
異常があれば受診し、治療しても治らなければ、さらなる検査や治療が必要になります。
猫が耳の腫瘍になってしまったら
耳の腫瘍の基本的な治療は、外科的切除です。
腫瘍の部分的な摘出や、外耳道の部分的または全摘出を行います。
抗炎症剤や抗生剤などの投薬が行われることもあります。
耳の腫瘍は、診断前に慢性的な外耳炎などが数カ月以上の長期間続いている例もよくみられます。
耳をかゆがる、赤みがあるなどの外耳炎の症状が見られたら、動物病院を受診し治療を行うこと、治療してもなかなか治らないようなら再受診し、検査や治療を進めていくことが重要です。