犬の多発性筋炎とは
多発性筋炎とは、体を動かす筋肉である複数の骨格筋に炎症が起こる病気です。
複数の骨格筋に炎症が起こることで、うまく運動ができなくなったり、体が弱ってしまったりします。
犬の多発性筋炎の症状
どの部位の筋肉に筋炎が起こるかによって、症状は異なります。
筋肉に痛みが出ることもあれば、出ないこともあります。
多発性筋炎の症状は以下のようなものが挙げられます。
急に筋肉がやせて体重が減ったり、起き上がりや運動が難しくなったりして、飼い主様が気付くことも多いです。
犬の多発性筋炎の原因
多発性筋炎は、検査によっても原因が特定できない特発性(とくはつせい)、または自己免疫の異常により筋肉の疾患に分類されます。
多発性筋炎の検査は、症状の経過、触診などとともに、血液検査、筋電図、筋肉の生検などが行われます。
多発性筋炎の検査
- 触診
- 神経学的検査
- 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
- 筋電図(どの動物病院でも実施できるわけではありません)
- 筋肉の生検※
- 尿検査
※生検とは、麻酔をかけ組織の一部を採取すること。採取した組織で、顕微鏡で組織の状態を観察する病理組織検査を行う。
多発性筋炎が疑われた場合、自己免疫異常による全身性の疾患や、腫瘍、寄生虫の感染などの可能性を否定する必要があります。
必要であれば上記以外にも検査が行われ、総合的に診断されます。
犬の多発性筋炎の予防方法
多発性筋炎のはっきりとした予防方法はありません。
異常な様子が見られたら、動物病院で診察を受けましょう。
犬が多発性筋炎になってしまったら
多発性筋炎では免疫の異常が認められるので、免疫抑制剤であるプレドニゾロンなどを投与します。
ほとんどの犬で、免疫抑制剤の投与により、状態はよく改善します。
食道が一部ゆるんでしまう巨大食道症がある場合には、犬を立たせた状態で少量ずつごはんをあげるなどの方法が必要になります。
筋炎による巨大食道症などで、飲み込んだ食物や吐き戻した吐物が気管に入り、肺炎を起こすことがあります(吸引性肺炎)。
この場合は入院をし、抗生剤の投与などで治療します。
おかしい様子があれば、早めに動物病院に連れて行き、診察を受けましょう。