犬のヘビ咬傷とは
犬や猫ではヘビにかまれることがあり、かまれた傷のことを咬傷(こうしょう)といいます。
季節としては、ヘビの咬傷は、夏から秋にかけて最も多くなります。
日本の主な毒ヘビは、
- マムシ
- ヤマカガシ
- ハブ
が挙げられます。
犬は未知のものに対して、顔を近づけて臭いをかいだりしながら確認することが多いので、鼻先(頭部や顔面)をかまれることが多いです。
前足への受傷がそれに続きます。
犬がヘビの咬傷により死亡することは非常にまれですが、中には死亡する例もあります。
犬のヘビ咬傷の症状
犬がヘビにかまれたら、まずかまれた部分が痛むので、キャンと鳴いたり、咬まれた部分が足であれば、挙げたりします。
ヘビにかまれても、毒液を注入されないことがあります。
その場合には、症状はほぼ痛みのみです。
毒液を注入された場合は、数十分後にかまれた部分が腫れてきて、時間が経過すると範囲が広がったり、内出血などが起こったりします。
犬のヘビにかまれたときの症状は以下のようなものが挙げられます。
ヘビの咬傷での症状
- かまれた場所の痛み
- キャンと鳴く
- 足を挙げる
- 元気がなくなる
- よだれを流す
- かまれた部分が腫れて、徐々に範囲が広がる
- 腫れたところの皮膚が赤や紫のあざのようになる(内出血)
- 筋肉や組織の細胞が壊死(えし)する
- 皮膚が広範囲に剥がれる
- 食欲不振
- 尿が赤くなる
など
重症例では、発熱や嘔吐・下痢、血圧が下がる、ショック、呼吸困難、血液の凝固異常などが起こります。
腎臓や肝臓に障害が出る例もみられ、ヘビの咬傷の最重度では、末期的な状態となり、昏睡や死亡することもあります。
犬のヘビ咬傷の原因
重症になる例では、毒液による影響が大きく現れます。
ヘビの毒液は、血液を溶かしたり、出血を起こしたりするような毒性成分が主です。
他には、心臓や神経に影響する毒性成分もあります。
ヘビの咬傷は、咬まれた場所が腫れてくるので、見た目に分かりやすいことが多いですが、診察でヘビのかみ傷がないかも探します。
ヘビの咬傷での検査は以下のようなものがあります。
ヘビにかまれたときの検査
- 視診(患部や全身をしっかりと観察する)
- 聴診
- 血液検査
- 尿検査
など
他にも必要な検査があれば行われます。
犬のヘビ咬傷の予防方法
草むらに近付かない、道や地面にいるヘビに近寄らせないなどの対処で、ヘビにかまれる機会を減らすことができるかもしれません。
ヘビにかまれた場合、またはそれが疑われる場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
犬が蛇に咬まれてしまったら
軽度の一般的なヘビの咬傷の治療では、以下のようなものが行われます。
ヘビにかまれたときの検査
- 傷口の消毒・処置
- ステロイドの投与
- 抗生剤の投与
- 安静
など
ヘビの口腔内や毒の中から細菌が検出されている報告があるので、抗生剤も投与されます。
症状が軽くなく、血液検査の異常や状態の悪化がみられる場合は、入院して治療を行います。
輸液治療、電解質の補正※、腎障害・肝障害の治療などです。
※ナトリウム(Na)やカリウム(K)などの血液中の重要な物質のバランスを正常に整える
ヘビ毒により、血液を固めて止血する機能の異常(血液凝固異常)が現われ、出血が止まらない例もあるので、必要であれば輸血も行います。
ショックや低血圧を起こした場合は、その治療をします。
受傷直後は一般的なヘビの咬傷に見えて、時間が経過すると状態が悪化し重症化することもあります。
診察後も引き続き注意して観察し、具合が悪くなる、出血が止まらないなどおかしい様子があれば、迷わず病院へ連れて行きましょう。