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耳血腫とは、耳介(耳たぶ)に血液がたまり、風船のように膨らむ耳の病気です。
耳血腫になった耳は熱を持ち、違和感や痛みがあります。
耳血腫は、耳介の変形を伴います。
ただ、早期の治療で、耳介の変形を防ぐ、または少なくすることができる例もみられます。
なお、猫での発症は、犬の耳血腫よりも少ないです。
耳血腫では、猫が耳を気にするので耳を見てみたら、風船のように膨れていることに気付き、動物病院を受診するというケースがほとんどです。
耳血腫の症状は、以下のようなものが挙げられます。
・耳介が風船のように膨れる
・耳を気にしてしきりにかく
・しきりに頭を振る
・耳を触られるのを嫌がる、怒る
など
耳血腫は耳ヒゼンダニ症などの外耳炎が同時に起こっていることが多いです。
そのため、上記の症状以外にも、
・黒い耳垢が大量に増える
・耳からくさい臭いがする
・耳の穴の周りの皮膚が赤くはれる
などの外耳炎の症状がみられることもあります。
耳血腫の原因について、はっきりしたことは分かっていません。
耳ヒゼンダニ症、外耳炎、耳内異物などで、頭を振ったり、耳をかいたりすることで、耳介の軟骨が傷害されることが要因のひとつとされています。
また、耳血腫の発症には、何らかの免疫の仕組みが関係している可能性も考えられています。
耳血腫の検査は、以下のようなものがあります。
・視診
・触診
・耳垢検査
・耳介穿刺(せんし:針を刺す)
など
耳血腫は外耳炎を併発していることが多く、可能であれば耳垢検査なども行われます。
耳血腫自体は、外観や感触でほぼ判断できます。
また、耳血腫では、針を刺して吸入すると、薄い茶色~血が混ざったような色の液体が抜けます。
耳血腫のはっきりした予防方法はありません。
外耳炎などが、耳血腫の発症に関連している可能性があるので、外耳炎の早期発見・早期治療により、発症を避けられることがあるかもしれません。
耳を気にしているなど、いつもと違う様子があれば、動物病院に連れて行きましょう。
耳血腫の治療には、通院の処置と手術があります。
軽度であれば、数日おきに、耳にたまった液を抜くことを繰り返します。
このとき、ステロイド剤を耳の中に注入することもあります。
液がたまれば病院で抜くという形ですが、だんだんたまる液量が少なくなってきて、最後にはたまらなくなります。
並行してステロイド剤や、必要であれば抗生剤を内服します。
このような処置が性格的に難しい、処置をしてもよくならない、または繰り返すなど、状況に応じて手術が選択されます。
手術では耳介の内側に切り込みを入れて、袋状になっていた耳介の内側と外側が合わさるように、複数カ所縫いとめます。
このとき、切開した部分は、排液できるように開けておきます。
場合により、耳介の排液を促すひも状あるいは管状のドレーンを設置することや、耳介に液がたまらないように圧迫し、固定する、圧迫固定という処置をすることもあります。
手術をしても、耳介がくしゅくしゅと縮むように変形することも多いです。
耳血腫は、熱を持ち、痛みや違和感があります。
猫も気にして頭を振るなど不快感を持つ疾患です。
耳が膨れていたら動物病院を受診し、しっかりと治療を行いましょう。