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ホルネル症候群とは、眼につながる交感神経に障害が起こることにより、眼とその周辺に特徴のある複数の症状が出ることを指します。
特定の神経の経路に障害が出たときに現れるので、その経路に障害を与える原因はさまざまなものがあります。
ホルネル症候群とは、下のような4つの症状をみたすものを指します。
① 瞳孔が小さくなっている(縮瞳:しゅくどう)
② 目頭側から眼を覆う白い膜が出てきている(瞬膜突出:しゅんまくとっしゅつ)
③ 上まぶたが垂れ下がっている(眼瞼下垂:がんけんかすい)
④ 眼が後ろに引っ込んでいる(眼球陥没:がんきゅうかんぼつ)
片側にのみホルネル症候群が現れることがほとんどです。
神経に障害が起こった部位により、足の麻痺や顔面麻痺などホルネル症候群に併発した症状が現れます。
脳から始まり眼につながる交感神経のいずれかの部分に異常が起こったときにホルネル症候群が起こります。
眼につながる交感神経経路は、脳の中脳、視床下部に始まり、脳幹、脊髄を通り、第一胸椎から第四胸椎の間から出て、胸腔内の交感神経の集まりに合流し、頚部を通り、中耳腔を経由し、眼球の後ろ側に到達します。
<ホルネル症候群に関係する交感神経経路>
この中のどの部位が障害されてもホルネル症候群は現れるので、その原因は外傷、炎症、腫瘍(しゅよう)、梗塞(こうそく)、椎間板突出など多様です。あわせて、原因が特定できない例もあります。
ホルネル症候群の原因は以下の通りです。
・中耳炎
・脊髄損傷
・椎間板突出
・腫瘍(中耳内など)
・梗塞
・外傷(交通事故など)
・炎症性疾患
など
ホルネル症候群がみられたときの検査は以下のようなものが挙げられます。
・身体検査
・眼科学的検査
・耳鏡検査
・神経学的検査
・X線検査
・CT/ MRI検査
など
必要であれば他の検査も行われます。
しかし、猫のほぼ半数で原因を特定することはできないともいわれており、自然に症状が消えていく例もあります。
猫のホルネル症候群の原因のひとつに交通事故などの外傷があります。外傷は完全室内飼育にする(屋外に出さない)ことでその機会をかなり減らすことができます。
他には、中耳炎でもホルネル症候群になることがあります。
中耳炎は外耳炎から広がることも多いので、耳を頻繁にかく、頭を振る、耳が臭いなどの異常がないかをチェックし、早めに動物病院に連れて行くことが大切です。
ホルネル症候群が現れることで腫瘍などの隠れている大きな病気が見つかることがあります。ホルネル症候群の特徴がみられたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
ホルネル症候群の原因となる疾患があれば、それぞれの治療を行います。
ホルネル症候群の症状のみが片側だけで起きており、原因が特定できない場合は、経過観察を行うことも多いです。3~4か月で症状が引くといわれています。
ホルネル症候群は外観的な特徴があり、意識すれば異常に気が付くことができる可能性が高くなります。眼を細めたような印象を感じることもあるようです。
また、ホルネル症候群の中で分かりやすい症状は、左右の瞳孔の大きさが異なることです。何か違和感があれば、じっくりとその原因を観察してみることも大切かもしれません。
そして、異常がみられたらすぐに動物病院に連れて行きましょう。