猫の三叉神経麻痺とは
三叉神経(さんさしんけい)は、歯や口腔、鼻腔なども含む顏の大部分に広がり、皮膚感覚などの情報を受け取っている神経で、12対の脳神経の内のひとつ(第Ⅴ脳神経)です。
三叉神経という名前の由来は、神経が途中で3つに分かれる(眼神経、上顎神経、下顎神経)ところからきています。
三叉神経麻痺(さんさしんけいまひ)とは、何らかの原因で三叉神経に麻痺が起こっている状態です。
なお、三叉神経麻痺は猫ではまれです。
猫の三叉神経麻痺の症状
三叉神経麻痺の主な症状は、口を閉じられないことです。よだれを多量に垂らし、食べ物を噛めなくなります。飲み込みには異常がないことがほとんどです。
三叉神経麻痺の症状は以下のようなものがあります。
三叉神経麻痺の症状
- 口を閉じることができない
- 食事を散らかす(うまく食べられない)
- 食べ物を噛めない
- 水をうまく飲めない
- よだれを垂らす
- 顏を気にする(こする、かく)
など
他にも、食べ物を噛むことに関わる筋肉(咀嚼筋:そしゃくきん)が急速に衰えることもあります。
猫の三叉神経麻痺の原因
三叉神経麻痺には検査上異常が出てこず、原因が分からない特発性(とくはつせい)三叉神経麻痺があります。
また、神経の腫瘍(しゅよう)や、外傷などで三叉神経麻痺が起こることもあります。
原因による三叉神経麻痺の分類
- 特発性(原因不明)
- 腫瘍によるもの
- 外傷によるもの
など
三叉神経麻痺では、神経学的検査で神経の異常をおおまかに検出します。
他の疾患の可能性も疑われる場合は、必要な検査が行われます。最終的にMRI検査で脳に腫瘍などの異常がないかを検査することもあります。
猫の三叉神経麻痺の予防方法
三叉神経麻痺の予防方法はありません。
多量によだれを垂らしたり口を閉じられなかったりする症状がみられたら、すぐに病院を受診しましょう。
猫が三叉神経麻痺になってしまったら
明確な原因がある場合は、その治療が行われます。
原因の分からない特発性三叉神経麻痺では、特別な治療は行わず、食事や飲水の補助などを行います。食事を噛まずに飲み込みやすいように工夫したり、手で食べ物を与えたりポンプ(シリンジ)で水をあげたりします。
噛まずにいいようにする工夫としては、食べ物をふやかす、噛まずにすむようなペースト状の食事にするなどの方法があります。また、飲水用の容器をかなり深いものにすると飲めることもあるようです。
このように、食事や飲水のサポートを行えば、2~4週間で治っていきます。
猫では三叉神経はまれではありますが、食事や水を摂りにくそうにしていたらすぐに動物病院に連れて行きましょう。