目次
犬の特発性免疫介在性多発性関節炎とは
特発性(とくはつせい)免疫介在性多発性関節炎とは、自己免疫の異常により、複数の関節で関節炎が起こる疾患です。
特発性とは、検査などで原因が特定されないものを指します。
免疫介在性多発性関節炎には、
- びらん性:関節周囲の骨が壊されていく骨びらんがみられる
- 非びらん性:骨びらんがみられない
があり、特発性免疫介在性多発性関節炎は非びらん性です。
免疫が関わる多発性関節炎で、非びらん性のものには他に、全身性紅斑性狼瘡(SLE)による関節炎があり、びらん性では、リウマチがあります。
特発性免疫介在性多発性関節炎は、犬の多発性関節炎の中では最も多くみられます。
3歳から7歳までの間に診断されることが多いですが、幼齢から老齢まで、発症年齢は幅広いです。
犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の症状
特発性免疫介在性関節炎は、関節の痛みなどの症状だけではなく、繰り返す発熱が現れることが多いです。
特発性免疫介在性関節炎では、以下のような症状が現れます。
特発性免疫介在性関節炎の症状
- 立ち上がるときや歩き出しに時間がかかる
- 歩きたがらなくなる
- 繰り返す発熱
- 足をかばうようにひょこひょこと歩く
など
犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の原因
特発性免疫介在性多発性関節炎は、免疫の異常により起こります。
特発性免疫介在性多発性関節炎は基本的に、多発性関節炎を引き起こすその他の疾患を除外することで診断されます。
そのため、全身的に検査を行い、総合的に判断されます。
特発性免疫介在性多発性関節炎の検査は、以下のようなものがあります。
特発性免疫介在性多発性関節炎の検査
- 触診
- 血液検査
- X線検査
- 関節穿刺(関節液を採取し検査する)
- 顕微鏡での観察
- 細菌培養・感受性検査
- 抗核抗体(ANA)検査
- 犬リウマチ因子測定
など
感染、薬剤や腫瘍の影響での免疫異常、他の関節疾患、神経疾患など、さまざまな可能性を調べる必要があるので、他にも検査を行うこともあります。
犬の特発性免疫介在性多発性関節炎の予防方法
特発性免疫介在性多発性関節炎の予防方法は、特にありません。
歩き出しが悪い、歩きたがらないなど、おかしい様子が見られたら、早めに動物病院に連れて行きましょう。
犬が特発性免疫介在性多発性関節炎になってしまったら
特発性免疫介在性の治療は、ステロイド剤などの免疫抑制剤を投与します。
一般的に、ステロイド剤の投与により症状は改善します。
ステロイド剤を徐々に減量し、投薬をやめることができる犬もいますが、ほとんどは再発防止のため、最低用量での投薬の継続が必要となります。
ステロイド剤の長期投薬による副作用を避けるために、維持期には他の免疫抑制剤を追加し、ステロイド剤の量をできるだけ減らすという方法もあります。
犬の調子が悪い、あまり歩こうとしないなどの様子が見られたら、動物病院を受診しましょう。