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猫伝染性腹膜炎

猫伝染性腹膜炎

猫伝染性腹膜炎とは

猫伝染性腹膜炎(FIP:Feline Infectious Peritonitis)はコロナウイルスの一種である猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスにより引き起こされる感染症です。


猫に病原性のあるコロナウイルスには、猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスの他に猫腸コロナウイルスがあり、多くの猫が猫腸コロナウイルスに感染しているといわれています。

猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスは腸コロナウイルスの体内での突然変異により発生すると考えられていますが、はっきりしたことは分かっていません。


猫伝染性腹膜炎(FIP)の多様で深刻な病状に比べ、猫腸コロナウイルス感染では主に子猫で一過性のゆるやかな下痢や嘔吐を発症し、症状が現れないことも多いです。

2つのウイルスは遺伝学的にも非常に似通っており、それらの判別は困難で、その症状や重症度の違いにより区別されます。

猫伝染性腹膜炎の症状

猫伝染性腹膜炎(FIP)は、その症状から

・ウェットタイプ

・ドライタイプ

に分けられます。


それぞれ、ウェットタイプは滲出型(しんしゅつがた)、ドライタイプは非滲出型(ひしんしゅつがた)とも呼ばれます。


それぞれに特徴的な症状の違いがみられますが、どちらも共通してみられる症状は以下の通りです。


<猫伝染性腹膜炎でみられる一般的な症状>

・元気消失

・食欲不振

・発熱

・嘔吐

・下痢

・体重減少

・黄疸

など


ウェットタイプ、ドライタイプでそれぞれにみられる特徴的な症状は以下の通りです。


●ウェットタイプの症状

ウェットタイプでは、腹膜炎や胸膜炎による腹水・胸水の貯留が特徴的な症状として現れます。

それにより呼吸困難も起こします。


●ドライタイプの症状

ドライタイプでは、胸水や腹水貯留はみられません。

腎臓などの体の臓器のあちこちに炎症により組織のかたまり(肉芽腫)ができることが特徴です。
脳にそのかたまりができれば神経症状(けいれんなど)を引き起こし、眼にできればブドウ膜炎などの眼の症状が現れます。


しかし、すべての猫で厳密にタイプ分類ができるわけではありません。

猫伝染性腹膜炎の原因

猫伝染性腹膜炎(FIP)は猫伝染性腹膜炎ウイルスを病原体とします。


猫コロナウイルスでは、猫腸コロナウイルスは糞便中に排泄され、猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスは口や鼻からの分泌物や糞便、尿中に排泄され、それらが口や鼻から入り感染します。


しかし、猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスを持つ猫すべてで発症するわけではありません。


猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスの中でも、その病原性には差があり、発症には感染したウイルスの病原性の高さと猫の免疫状態などが関連しているとされています。
※病原性とは、発症しやすいものか、発症した後にどのぐらい重症になりやすいかのこと


特に猫免疫不全ウイルス(FIV:猫エイズウイルス)猫白血病ウイルス(FeLV)などに感染し猫の免疫が抑えられた状態になると猫伝染性腹膜炎(FIP)の発症率も高まります。


猫伝染性腹膜炎(FIP)はどの年齢でも発症しますが、若い猫や老齢猫でよくみられます。

さらに1歳以下の猫では病気の進行が早いです。


以下は猫伝染性腹膜炎(FIP)で行われる検査です。


<猫伝染性腹膜炎の検査>

・血液検査

・X線検査

・超音波検査

・腹水、胸水の検査(ウェットタイプ)

・猫コロナウイルス抗体検査(外部機関へ依頼)

・尿検査

・眼科検査(ブドウ膜炎など眼の症状で)

・神経学的検査(神経症状で)

・胸水、腹水や病変部の免疫染色

  ※特殊な染色を施し顕微鏡で観察し、感染の有無を調べる

など


猫伝染性腹膜炎(FIP)の血液検査では血中総たんぱく濃度が著しく上昇していることが多いです。

軽い貧血などもみられます。


また、猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスに感染していると、猫コロナウイルスの抗体価(血中の抗体の量)が上がります。

ただし、猫コロナウイルスの抗体価からは、猫腸コロナウイルス(軽い消化器症状)と猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルス(発症すると致死的)のどちらに感染しているかや発症の有無は判別できません。


他に、猫伝染性腹膜炎(FIP)の可能性が高まるのは、感染・発症が疑われる猫で腹水や胸水などから猫コロナウイルスの遺伝子が遺伝子検査で検出されることです。

しかし、この検査も確定診断にはならず、さらに陰性の場合でもその可能性を否定しきれません。


これらの検査は指標のひとつとして他の検査結果や症状と合わせて判断されます。


猫伝染性腹膜炎(FIP)の確定診断として、胸水や腹水、病変部位の免疫染色という特殊な検査があります。

陽性であれば猫伝染性腹膜炎(FIP)と診断できます。

ただし、陰性の場合であってもその可能性が否定されるわけではありません。


さらに、臓器にできた病変部を採取する場合は全身麻酔をかけて手術を行う必要があります。

そのため、状態の悪い猫に麻酔をかける危険性や猫伝染性腹膜炎(FIP)の経過の厳しさを考えると、あまり実施されることはありません。


このように猫伝染性腹膜炎(FIP)の仮診断、診断は非常に難しいのが現状です。

特にドライタイプでは、ウェットタイプのように胸水や腹水のようなわかりやすい所見がみられない場合もあり、さらに判断を難しくしています。

猫伝染性腹膜炎の予防方法

猫伝染性腹膜炎(FIP)は猫の免疫力が低下したときに発症しやすいとされており、密な多頭飼育など過剰なストレスを避けることで発症の機会を減らせる可能性があります。


多頭飼育であれば、感染猫を隔離し、その居住環境や使用した器具を消毒することも大切です。

飼い主様も感染猫を触った後、そのまま他の猫と接触することは避けましょう。


米国には猫伝染性腹膜炎(FIP)のワクチンがありますが、その有効性は疑問視されることもあり、日本では承認されていません。

猫伝染性腹膜炎になってしまったら

確実な治療法は今のところ確立されていません。


猫伝染性腹膜炎(FIP)は発症するとそのほとんどが致死的です。

治癒した例に関しても確定診断されていないことが多く、本当に猫伝染性腹膜炎(FIP)だったのか、その場合治療に反応した結果なのかなど、その評価は難しいです。


主な治療は以下のようなものが挙げられます。


<猫伝染性腹膜炎で行われる治療>

・免疫抑制剤(主にステロイド剤)

・抗生剤

・利尿剤(腹水や胸水を減らすため)

・猫インターフェロンオメガ

・輸液療法

など


この他に治療に使用される薬剤もあります。

しかし、これらの治療を行い治療に反応しても、いくらか延命する以上のことは見込めないことがほとんどです。


猫伝染性腹膜炎(FIP)の初期症状は他の病気でもみられるものが多いです。

異常がみられたら早めに動物病院に連れて行きましょう。

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