猫のパスツレラ感染症とは
パスツレラ感染症は、パスツレラ菌が病原体となって起こる感染症です。
ほとんどの猫や犬は、口腔内や爪などに、常在菌としてパスツレラ菌を持っています。
また、パスツレラ感染症は猫や犬から人間へと感染することのある人獣共通感染症(ズーノーシス)です。
免疫が低下している状態の人、例えば、高齢者や糖尿病、免疫不全状態の方では、感染が起こりやすい日和見(ひよりみ)感染症です。 糖尿病などの病気を起こしている方では、敗血症や髄膜炎、腹膜炎などに進行・重篤化し、死亡例も報告されていますので、特に注意しましょう。
猫のパスツレラ感染症の症状
猫のパスツレラ感染症では、感染はあっても、症状には現れないことがほとんどです。
症状が現れた場合は、肺炎や鼻炎などの呼吸器症状、外耳炎、膿胸や皮下膿瘍(皮下の膿の袋)などがみられます。
パスツレラ感染症の症状
- 咳をする
- くしゃみをする
- 呼吸が速い
- 皮膚が腫れて化膿している
など
猫のパスツレラ感染症の原因
猫のパスツレラ感染症の原因は、パスツレラ菌(主にPasteurella multocida)と呼ばれる病原体です。
咬み傷やひっかき傷で感染します。
パスツレラ感染症の検査は以下のようなものがあります。
パスツレラ感染症の検査
- 血液検査
- レントゲン検査
- 皮膚検査
- 細菌培養・感受性検査
など
症状や感染部位などにより、行われる検査は異なります。
他にも必要な検査があれば行われます。
猫のパスツレラ感染症の予防方法
パスツレラ感染症は、猫同士のけんかで、噛んだり引っかいたりした傷から感染が起こることが多いです。
そのため、室内飼育を行い、他の猫とけんかをする機会を減らすことが予防につながるといえます。
呼吸器や耳、皮膚の感染の早期治療と口腔内をきれいに保つことなども大切です。
また、猫から人に感染することもあります。 人に感染するときは、咬み傷や引っかき傷だけでなく、疾患があり免疫力が低下している方で、ご飯の口移しや添い寝などの濃厚接触で感染する例もみられます。
猫から人への感染に関しての予防方法は以下のようにいわれています。
猫から人へのパスツレラ感染症の予防方法
- 猫の爪をこまめに切っておく
- 寝室に入れない
- キスや口移しなどをしない
- 咬まれたり引っかかれたりしたらすぐ消毒し、特に免疫力の低下する疾患のある方は病院を受診する
- 幼児や小児と猫だけにしない
など
犬でも同様のことがいえます。 特に免疫が著しく低下している状態の方は、上記のことに注意してみましょう。
猫がパスツレラ感染症になってしまったら
パスツレラ感染症には、消毒ができる部位なら行い、ペニシリン系やテトラサイクリン系、セファロスポリン系などの抗生剤を投与します。
細菌培養・感受性試験の結果があれば、それを基に有効な抗生剤を投与します。
猫や犬のパスツレラ感染症では症状が現れることはあまりありませんし、治療を行うと治癒する例がほとんどです。 ただ、中には治療を行っても死亡した例も報告されています。
皮膚が腫れている、呼吸がおかしいなど、異常がみられたら早めに動物病院に連れて行きましょう。