犬の寒冷凝集素症とは
寒冷凝集素症とは、低温下で血液が凝集し溶血性貧血を引き起こす、免疫が関わる皮膚疾患です。
犬や猫での発症はまれです。
寒い時期または寒冷な環境下で、発症または悪化しやすいです。
犬の寒冷凝集素症の症状
寒い時期に、耳介、鼻、肉球、足の先、尾の先などの冷たくなりやすい部分に以下の症状がよくみられます。
<寒冷凝集素症の症状>
- 皮膚が赤くなる、紫色になる
- 細胞の壊死
- 傷がえぐれたようになる(潰瘍:かいよう)
- 痛みを伴う
など
また、類似した症状が現れる皮膚疾患として、皮膚血管炎などがあります。
犬の寒冷凝集素症の原因
寒冷凝集素症は、自己免疫の異常により、寒冷に反応する抗体※(主にIgM)が関わっているとされています。
※抗体とは、免疫システムを構成する物質のひとつ
血管内で赤血球が集まったり壊れたり、血栓ができたりして、症状が現れます。
他には、感染や鉛中毒が関わっていることもあります。
寒冷凝集素症は、症状などの経過、身体検査、各種検査所見などを合わせて診断されます。
寒冷凝集素症の検査は、以下のようなものが挙げられます。
寒冷凝集素症の検査
- 皮膚検査
- 血液検査
- 一般血液検査
- 定性検査
- 冷式クームス検査
- 皮膚生検/病理組織検査
など
寒冷凝集素症は、IgMといわれる抗体(免疫システムの一部)が関わっているので、それを検出する冷式クームス検査も、検査方法のひとつとして挙げられます。
犬の寒冷凝集素症の予防方法
寒冷凝集素症の発症前の予防は難しいです。
皮膚や耳などに異常が見られたら、動物病院を早めに受診しましょう。
犬が寒冷凝集素症になってしまったら
寒冷凝集素症になった場合、ステロイドなどの免疫抑制剤を用い、寒い環境にさらされることを避けます。
もし、寒冷凝集素症を引き起こすような病気がある場合は、その治療も行います。
皮膚に異常が見られた場合は、動物病院に連れて行きましょう。