脂漏症

犬の脂漏症とは

脂漏症(しろうしょう)では、皮脂が多く皮膚が脂っぽくなったり、逆に皮膚が乾燥したりします。

さらに、ふけやかさぶたの剥がれたようなものが多く出たり、毛の根元がかさぶたで固まったようになったりする症状も現れます。


これは、皮膚のサイクルに異常が出ているために起こります。


皮膚の細胞は、表皮の内層で分裂した細胞が、徐々に皮膚の表面へと移動しながら細胞死を迎え、最外層(角質層)で体を守る細胞になります。


この表皮の細胞の変化を角化(かくか)といいます。


そして、最終的に皮膚の表面から剥がれ落ちて行くまでが、一連のサイクルです。


脂漏症は、皮膚の角化異常により、皮膚が起こった症状、状態を指します。

犬の脂漏症の症状

犬の脂漏症は、油性脂漏症と乾性脂漏症に分けられます。


油性脂漏症では、皮脂の分泌が過剰になるので、皮膚や被毛がべたべたして臭いもきつくなります。


乾性脂漏症では、皮脂が少なく、皮膚が乾燥します。


どちらも、その状態に加え、ふけやかさぶたの剥がれたようなものなどが多く出ます。
毛の根元がかさぶたで固まったようになることもよくみられます。


脂漏症の症状は以下のようなものが挙げられます。


脂漏症の症状
  • ふけ、かさぶたなどさまざまな大きさのものが多く出る
  • 皮膚や毛が脂っぽくべたべたしている
  • 皮膚から独特な臭いがする
  • 皮膚が乾燥している
  • 皮膚の赤み
  • 脱毛
  • 体をかゆがる

など


脂漏症は、皮膚にカビの仲間(酵母)であるマラセチアや、細菌の感染症、さらに外耳炎が同時に起こっていることもよくあります。

犬の脂漏症の原因

脂漏症は、

  • 遺伝が関わっている原発性(げんぱつせい)脂漏症
  • 何らかの疾患などが原因となっている二次性(続発性:ぞくはつせい)脂漏症
に分けられます。


脂漏症のほとんどが、二次性(続発性)脂漏症で、遺伝が関わるとされる原発性脂漏症はあまりみられません。


原発性脂漏症では、以下のように、なりやすい犬種が報告されています。


油性脂漏症では、

  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
  • ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
  • バセット・ハウンド
  • シーズー
  • ラブラドール・レトリーバー
などが挙げられています。


乾性脂漏症では、

  • アイリッシュ・セター
  • ミニチュア・シュナウザー
  • ドーベルマン・ピンシャー
  • ジャーマン・シェパード
  • ダックスフンド
などでよくみられます。


原発性脂漏症では、1歳未満で発症することが多く、ほとんどは2歳までには発症するといわれています。


他の疾患などがもとになっている二次性(続発性)脂漏症では、

などが原因として挙げられます。


原発性と二次性の脂漏症の症状は似通っており、症状だけで両者を区別することが難しいです。


脂漏症の検査は、各種皮膚検査での、マラセチアや細菌などの感染がないかの確認や、長く続いているようなら、血液検査等で原因となっている病気がないかなどを調べていきます。


犬種や発症の時期(年齢)、症状の経過なども、診察を進めていくうえで重要な判断材料になります。

犬の脂漏症の予防方法

脂漏症の明確な予防方法はありません。


脂漏症は、もともとの体質やかかっている病気などが複雑に絡み合い、治療が難しいこともよくあります。


必要であれば、治療を根気よく続けていき、シャンプーなど日頃のケアを継続していきましょう。


皮膚に異常があれば、早めに動物病院を受診することが大切です。

犬が脂漏症になってしまったら

二次性(続発性)脂漏症で、原因となる疾患がある場合は、それを治療します。


細菌などの病原体が感染している場合は、そちらの治療も並行して行われます。


二次性脂漏症では、原因となっている疾患や異常が治れば、脂漏症も収まります。


ただ、アレルギー性皮膚炎など、完治ができない、または治療による制御が難しい疾患などでは、継続した治療やケアを行っていきます。


原発性脂漏症では、生涯の治療が必要です。


細菌やマラセチア感染があれば、その治療をし、皮膚の状態に合わせてこまめにシャンプーや保湿を行ったり、サプリメントの投与や質の良いフードへの変更を行ったりします。


原発性脂漏症では、加齢とともに症状が進むことも多く、生活の質を保つことが治療やケアの目標となります。


皮膚や犬の様子に異常があれば、早めに動物病院に連れて行き、困ったことがあれば動物病院のスタッフや獣医師に相談しながら、治療やケアを進めて行きましょう。

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