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膣脱

膣脱

犬の膣脱とは

膣脱(ちつだつ)とは、膣の一部が外陰部から出てしまっている状態のことです。

膣脱は、2~3歳以下の未避妊の若い雌犬、特に大型犬の発情時によくみられます。

膣脱は発情のときに分泌される性ホルモンにより起こりやすくなります。


(※)発情周期は、無発情期、発情前期、発情期、発情休止期(発情後期)の4つの時期に分けられ、発情前期と発情期を合わせて「発情」といわれることが多いです。

犬の膣脱の症状

膣脱の症状は分かりやすく、外陰部から丸いドーナツ状の粘膜のかたまり(飛び出した膣)がみられます。程度により、外陰部から出ている膣の大きさはさまざまです。


粘膜が出たままになっていると、乾燥し膣粘膜が損傷してしまい、乾燥した粘膜に亀裂が入る、ただれるなどして、粘膜表面に感染も起こりやすくなります。草など刺激のあるものや床や土、泥などに出ている膣が接触する状況だとさらに膣の状態が悪化したり感染の機会が増えたりします。


また、膣のどの部分までが外陰部から脱出して、どのように他の組織を巻き込むかにより変わってきますが、排尿が困難になることもあります。

犬の膣脱の原因

発情前期や発情期にはエストロゲンという性ホルモンが多く分泌され、このエストロゲンが膣に作用し、膣が腫れたり、厚くなったりします。

膣脱は、エストロゲンに膣が過剰に反応し、膣の腫れや厚さが過度に起きたときに発症しやすくなります。


また、発情期や発情前期ほどではないですが、出産時や発情休止期にエストロゲンが増加するときがあります。その際に膣脱が再発する例もみられます。


膣脱の検査は以下のようなものがあります。


<膣脱の検査>

・膣のスメア検査

  ※膣の細胞を顕微鏡で見ることで発情周期の判断や異常がないかを確認する

・病理組織検査

  ※膣の組織を採取し、顕微鏡下で腫瘍(しゅよう)などでないかなど状態を観察する

など

犬の膣脱の予防方法

子宮卵巣摘出術によりエストロゲンの分泌がなくなり、膣脱が起こりにくくなります。


卵巣子宮摘出術は病気などが起きていない健康な状態で、偶発的な妊娠、乳腺腫瘍(しゅよう)、膣や卵巣、子宮の腫瘍(しゅよう)、子宮蓄膿症などの性ホルモンや生殖器が関係する病気の発生率の低下や予防を目的に避妊手術として行われています。(避妊手術では卵巣のみを摘出する手術方法もあります)


避妊手術をしてない場合は、犬の発情の時期をしっかりと把握しておくこと、そのときの犬の様子を観察しておくことが大切です。

それらの情報が膣脱の診断の際に大きな助けとなります。


発情時期の把握は、膣脱だけでなく、子宮蓄膿症など発情周期に関連して起こりやすくなる疾患や、糖尿病など発情期に病状のコントロールが難しくなる疾患もあるので、とても重要です。

犬が膣脱になってしまったら

発情期が終わりエストロゲンの分泌が低下すると、膣の腫れや厚みは自然に治まっていきます。

卵巣子宮摘出術をするとエストロゲンは分泌されなくなるので、発情期が終わるのを待たずに膣脱を解消でき、再発もしにくくなります。卵巣子宮摘出術は状態が安定しているときに治療として行われます。


膣脱が続くと、粘膜が乾燥したり粘膜の細胞が死んだり(壊死:えし)するので、緊急的な状態でなければ、生理食塩水での洗浄や粘膜を潤滑に保つゼリーの塗布、抗生剤やステロイドが含まれた軟膏の塗布などを行います。

また、膣粘膜が傷つくのを避けるために、屋外飼育であれば室内に入れ、床が平坦で刺激物がない清潔な場所で看護します。さらに、出ている膣を舐めたり自分で傷つけたりしないためにエリザベスカラーも装着します。


排尿ができない緊急的な状態では尿道カテーテル(尿道から膀胱まで通す管)を設置します。


膣粘膜の損傷がひどい場合または膣粘膜が壊死している場合は手術でその部分を切除します。


なお、外陰部から出ている膣全体を広範囲で外科的に切除することは、基本的にはあまりすすめられていません。出血が大量になり、手術の後にそれがもととなって起こることのある病気や症状(合併症)が出る可能性があるからです。排尿ができない、広範囲に膣組織が損傷あるいは壊死している、感染の危険性が高い、何度も再発するときなどにのみ選択されます。


膣脱が認められたらすぐに動物病院に連れて行き、清潔な環境で治療を行いましょう。

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