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悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫(メラノーマ)

猫の悪性黒色腫(メラノーマ)とは

悪性黒色腫(メラノーマ)とは、メラニン細胞が腫瘍化したものです。


メラニン細胞とは、メラニンという色素を産生する細胞で、メラニンは紫外線による細胞の損傷を防ぐ役割をしています。


メラニン細胞は皮膚や粘膜の表面(表皮や真皮)、眼の虹彩(こうさい)※1や脈絡膜(みゃくらくまく)※2、毛様体(もうようたい)※3などにみられます。

※1 虹彩は、瞳孔の周りにある円盤状の膜で網膜へ入る光の量を調節する

※2 脈絡膜は、網膜に接する膜で栄養などを供給する

※3 毛様体は水晶体(レンズ)の厚さを変え、遠近調節をする


そのため、悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニン細胞がある眼、口腔、皮膚、指などに発生します。


皮膚に発生する悪性黒色腫のほとんどは鼻や耳にでき、四肢にもみられることがあります。


黒色腫(メラノーマ)は良性と悪性のものがあり、猫での発生はまれです。


ここでは悪性黒色腫について説明します。

猫の悪性黒色腫(メラノーマ)の症状

皮膚の黒色腫(メラノーマ)は基本的には黒く硬く半球状に膨らんだ見た目で、腫瘍を動かすと皮膚と一緒に動きます(体にくっついて動かない状態ではない)。


悪性の黒色腫では腫瘍の境目がはっきりしないことがあり、急速に大きくなります。

さらに、腫瘍やその周囲にただれや出血、傷がえぐれる潰瘍(かいよう)を伴うことが多いです。


眼球の悪性黒色腫(メラノーマ)では、ブドウ膜(虹彩、脈絡膜、毛様体)にできるものが代表的です。
そして、外から確認できるのは、虹彩にできた悪性黒色腫です。


<眼球の模式図>

眼球の模式図

猫の眼の腫瘍の中で、虹彩にできる悪性黒色腫が最も多いといわれています。


猫の虹彩の悪性黒色腫では、肉の塊のような膨らみを作るものや、薄い茶色か黒い色素がしみこむように虹彩全体に広がるものなどがあります。

猫の悪性黒色腫(メラノーマ)の原因

悪性黒色腫(メラノーマ)の原因は分かっていません。


人では悪性黒色腫の発生に紫外線が関係しているといわれていますが、猫の悪性黒色腫では、日光の光線は危険因子ではないと考えられています。

※ちなみに猫では、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)で日光の光線が危険因子となるとされている


皮膚や指の悪性黒色腫の検査は以下のようなものがあります。


<皮膚や指の悪性黒色腫の検査>

・FNA(針穿刺吸引)/ 細胞診※1

・X線検査

・血液検査

・病理組織検査※2

・CT検査

など

※1:FNA(針穿刺吸引)/ 細胞診とは、しこりを針で刺して細胞を採取し、顕微鏡で異常な細胞がないかを調べる検査

※2:病理組織検査とは、手術で採取した組織で標本を作り、顕微鏡で状態などを観察する検査


口腔の悪性黒色腫(メラノーマ)では、針を使うFNAを行うのは難しいです。


眼の悪性黒色腫では、全身麻酔をかけて眼の中の腫瘍にFNAを行うことはできます。
ただその前に、投薬して他の腫瘍でないか反応をみたり、眼球摘出を行ったりすることも多いです。


他にも必要な検査があればその都度行われます。

猫の悪性黒色腫(メラノーマ)の予防方法

悪性黒色腫(メラノーマ)の明確な予防方法はありません。


眼や体、口の中、指など定期的にしっかりチェックし、しこりやできもの、潰瘍など異常なものがみられたら、動物病院を受診しましょう。

猫が悪性黒色腫(メラノーマ)になってしまったら

悪性黒色腫(メラノーマ)の治療は、外科的切除が第一選択となります。


外科的切除が行えない場合には、放射線療法や腫瘍内への抗がん剤の投与などが行われることがあります。

化学療法(抗がん剤)に関しては、確立されたものはなく、効果はあまり期待できません。


眼球の悪性黒色腫(メラノーマ)は眼球摘出が行われます。

というのも、猫の眼の腫瘍は半分以上が悪性といわれ、良性でも腫瘍が大きくなったり眼の中で出血がすることがあったりするため、眼球摘出が選択されることが多いです。


猫の眼球の黒色腫は他の部位に比べると、経過は悪いといわれています。
また、肺や肝臓への転移が報告されています。


眼の悪性黒色腫はブドウ膜炎緑内障を併発する例もみられます。


口の中の悪性黒色腫(メラノーマ)では、外科的切除の際に必要であれば、顎の骨も切除します。


口腔の悪性黒色腫は大きくなると、飲水や食事が困難になることもあります。
そのため、全て取り切れなくても、腫瘍の大きさを小さくするための部分切除や放射線療法が、必要であれば選択されます。


口の腫瘍により、飲水や食事が難しい場合には、食道または腹部の皮膚を通して、胃へ水分や栄養、薬を入れられるように、太目の管を入れる食道チューブや胃瘻(いろう)チューブの設置が検討されます。


口の中の悪性黒色腫は発見が遅れることも多く、リンパ節や肺へ転移がみられる場合もあります。


口の中、眼、指なども含め定期的に体にしこりなど異常がないかしっかりと調べることで、悪性黒色腫(メラノーマ)だけでなく、さまざまな病気の早期発見・早期治療につなげることができます。

異常が見つかったら、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

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