猫の脳腫瘍とは
脳腫瘍とは、脳にできた腫瘍のことです。
腫瘍は良性と悪性に分けられますが、脳腫瘍では良性でも、腫瘍により頭蓋骨内の圧力が上昇するなど、深刻な状態になる場合もあります。
猫の脳から発生する脳腫瘍の中では、髄膜腫(ずいまくしゅ)の発生が最も多く、次にリンパ腫が続きます。
他には、脳のさまざまな細胞などが腫瘍化した星状細胞腫(せいじょうさいぼうしゅ)や上衣腫(じょういしゅ)などがあります。
なお、猫の脳腫瘍の発生は犬よりも少ないです。
猫の脳腫瘍の症状
脳腫瘍の症状として、分かりにくいものでは、行動や性格の変化が挙げられます。
症状が激しいものでないと気付かないことが多いので、その間に徐々に症状が進行していきます。
脳は部位ごとにさまざまな機能があるので、発生した部位によっても現れる症状や障害が異なります。
脳腫瘍の症状は以下のようなものが見られます。
脳腫瘍の症状
- 性格や行動の変化
- ふらつき
- うまく歩けない
- 斜頚(しゃけい)※1
- 眼振(がんしん)※2
- 旋回(せんかい)※3
- けいれん
など
※1:斜頚とは、自分の意思とは関係なく常に首から頭にかけて斜めに捻じれていること
※2:眼振とは、自分の意思とは関係なく眼球が一定方向に規則的に動く様子
※3:旋回とは、歩くときに同じ方向に円を描くようにぐるぐると回ること
人の脳腫瘍では、最初に持続的で重度の頭痛が発生します。
動きたがらない、暗い所でうずくまっている、触られるのを嫌がるなどの様子が見られるときには、頭痛が発生している可能性も考えられます。
猫の脳腫瘍の原因
脳腫瘍発生の原因は分かっていません。
脳腫瘍は脳から発生するものと、他の部位でできた腫瘍が脳に転移したものがあります。
脳腫瘍を疑うときには、神経症状やけいれんが現れている場合が多いですが、それらの症状が現れる脳腫瘍以外の、さまざまな異常の可能性も考慮します。
脳腫瘍の検査は以下のようなものがあります。
脳腫瘍の検査
- 視診
- 神経学的検査
- 血液検査
- FIV/ FeLV検査
- X線検査
- CT検査/ MRI検査
など
転移や他の病気の可能性をみるために、超音波検査など、上記以外の検査が行われることもあります。
猫の脳腫瘍の予防方法
脳腫瘍が発生するはっきりとした原因は分かっておらず、予防方法もありません。
けいれんやふらつきなどの神経症状は、脳腫瘍だけでなく他の重要な疾患の可能性もあります。
異常な様子が見られたら、動物病院に連れて行きましょう。
猫が脳腫瘍になってしまったら
脳腫瘍の治療法の選択は、脳腫瘍の種類により異なる場合もあります。
脳腫瘍の治療は以下のようなものが挙げられます。
脳腫瘍の治療
- 外科的切除
- 放射線治療
- 化学療法(抗がん剤治療)
など
脳腫瘍の治療のひとつとして挙げられる腫瘍の外科的切除(開頭手術)は、非常に難易度の高い手術です。
脳腫瘍の外科的切除(手術)を望む場合は、二次診療施設に紹介されることがほとんどです。
手術を実施する動物病院で、状態の再検査を行い、手術が適応か、どのように手術を行うかなどについて検討します。
放射線療法に関しても、特別な設備が必要であり、実施できる動物病院は限られます。
他には、脳腫瘍では、けいれんの発作が起こることがあり、発作が起これば、抗けいれん薬の内服を始めます。
ただ、脳腫瘍自体がそのままの場合、投薬治療になかなか反応しない場合も多いです。
脳腫瘍は、最初症状が出ず、分かりにくいこともありますが、異常に気付いたら早めに動物病院を受診しましょう。