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腫瘍は、良性と悪性に分かれ、悪性腫瘍は一般的に「がん」といわれます。
猫の腸の腫瘍は、リンパ腫が最も多くみられ、他には、 腺癌 平滑筋肉腫または平滑筋腫 肥満細胞腫 などが挙げられます。
これらの腫瘍の簡単な説明は、以下の通りです。
<リンパ腫>
リンパ腫は、白血球のひとつであるリンパ球が腫瘍化した血液のがんです。
<腺癌>
腺癌(せんがん)とは、腺細胞(せんさいぼう)が腫瘍化したものです。
腺細胞は、汗や消化液などの体液や、ホルモンなどを分泌する細胞で、腸にも多く分布しています。
<平滑筋肉腫または平滑筋腫>
腸の筋肉は、平滑筋(へいかつきん)という種類の筋肉でできています。
この腸の筋肉である平滑筋の細胞が腫瘍化したもので、悪性を平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)、良性を平滑筋腫といいます。
<肥満細胞腫>
肥満細胞は、血液や組織内に存在する免疫に関わる細胞のひとつで、それが腫瘍化したものが肥満細胞腫です。
なお、腸の腫瘍は、塊を形成することもあれば、腸に腫瘍細胞がしみこんで広がっている状態のこともあります。
腸に腫瘍ができると、 食欲不振 嘔吐 下痢 体重減少 元気がない などの症状が現れます。
腫瘍が塊状になると、腸管内を塞ぎ、不完全な腸閉塞を引き起こしたり、腫瘍やその周囲がもろくなり、腸管に穴が開いて腹膜炎が起きたりすることもあります。
腸の腫瘍になる原因は、詳しく解明されていません。
ただ、腸にできる腫瘍の中で、リンパ腫に関しては、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)が関わっていることがあると考えられています。
腸の腫瘍の検査は、以下のようなものが挙げられます。
腸の腫瘍の症状には、他のさまざまな疾患でも現われる症状もあるので、年齢や経過、状態により、全身的な検査が行われることもあります。
触診 糞便検査 血液検査 FIV/FeLV検査 X線検査(造影検査含む) 超音波検査 針穿刺吸引(FNA)検査※(超音波ガイド下) 内視鏡検査 試験開腹 病理組織検査 CT検査 など
※針穿刺吸引(FNA)検査とは、病変部に針を刺し、細胞を採取し、顕微鏡で簡易的に観察する検査。
年齢や経過、検査結果などによっては、必要であれば、甲状腺ホルモンの測定(甲状腺機能亢進症)など他の検査も行われます。
腸の腫瘍を予防する方法は特にありません。
ただ、リンパ腫の発生に関しては、特に猫白血病ウイルス(FeLV)が関係することもあると考えられています。
そのため、室内飼育を行ったり、必要であればワクチン接種を行ったりすることが、リンパ腫発生の機会を減らすことになるかもしれません。
腸の腫瘍は、早期発見・早期治療が重要になります。
猫の様子に異常があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
腸の腫瘍の種類や悪性度、進行具合、猫の状態などにより、治療は異なります。
切除が可能であれば、腸の腫瘍の基本的な治療は外科的切除です(リンパ腫を除く)。
リンパ腫の治療は、化学療法(抗がん剤)が基本ですが、塊や分厚い部分があり、必要であれば、外科的切除を行います。
他の腫瘍でも、補助的に化学療法(抗がん剤)を使用することもあります。
ただ、転移の有無や動物の状態、他の組織を巻き込んでいないかなどによっても、治療法は異なります。
それと同時に、症状を緩和したり、予測される有害な状況を防いだりする治療も行われます。
しっかりと獣医師と話し合い、検査や治療方針を決めて行きましょう。
腸の腫瘍は、早期発見と早期治療を行うことが大切です。
猫や猫の排泄の様子などをよく観察し、異常があれば動物病院に連れて行きましょう。