膿皮症

猫の膿皮症とは

膿皮症とは、主にブドウ球菌により起こる化膿性の皮膚炎です。

ブドウ球菌は正常な皮膚にも存在する常在菌ですが、体の抵抗力や皮膚のバリア機能が低下したり、皮膚に感染が起こりやすい病気を持っていたりすると膿皮症を起こします。


膿皮症は感染が起こっている部位により「表在性」、「深在性」に分けられます。

表在性:表皮を中心とした皮膚の表面に近い部分での感染

深在性:真皮や皮下組織という皮膚のより深部での感染

深在性では症状が激しくなることが多く、痛みを伴ったり治療に反応しにくかったりします。


猫での膿皮症は犬に比べてまれですが、気を付けなければならない病気ひとつです。

ここでは、膿皮症で最も一般的な表在性膿皮症について説明していきます。

猫の膿皮症の症状

膿皮症では、感染部位の痒みから、しきりに体を舐める、かくなどの症状が現れます。

皮膚には赤い発疹や中心に膿を持った発疹がみられ、脱毛することもあります。

また、炎症の部分にかさぶたができたり、膿を持った発疹が破裂して小さく円状に皮膚が薄くめくれる表皮小環(ひょうひしょうかん)という状態になったりします。


表在性膿皮症の主な症状
  • しきりに体を舐める、かく(痒がる)
  • 赤い発疹
  • 中心に膿を持った発疹
  • 脱毛
  • かさぶたができる
  • 円状に薄く皮膚がめくれる

など

猫の膿皮症の原因

膿皮症の主な原因菌はブドウ球菌です。

感染を起こしやすくなる要因は次のようなものがあります。


感染を起こしやすくなる主な要素
  • 皮膚の一番表面の細胞層(角質層)が薄くなる
  • 皮膚表面の脂質の膜がない、異常がある
  • 皮膚表面(角質層)の細胞間での水分を保持する物質の低下
  • 皮膚の表面の正常な細菌バランスの崩壊
  • ストレスなどによる免疫力(抵抗力)の低下

など


これらの要因により皮膚のバリア機能が低下し、外側からの刺激を受けやすく、さらに病原体が侵入しやすくなります。


また、膿皮症は他の病気の影響を受けずに複数の要因から皮膚への感染が成立したもの以外に、他の病気により感染しやすくなることで膿皮症になったものがあります。


膿皮症を引き起こしやすくなる疾患は以下のようなものが挙げられます。これらの病気が隠れておりそれに対しての治療が行われないでいると、なかなか膿皮症の治療に反応せず、長期化する傾向にあります。


膿皮症を引き起こしやすくなる疾患

など


このように膿皮症は細菌感染の元になる病気により引き起こされていることもあるので、寄生虫や真菌を調べる検査も同時にし、皮膚検査は必要であれば複数回行われます。


治療になかなか反応しない、治りきらず良化と悪化を繰り返すという場合は内分泌疾患など大きな病気が隠れている可能性を考え、血液検査などを含めた検査をすることもあります。

また、細菌の種類や有効な抗生剤を特定する細菌培養・感受性検査という外部機関に依頼する検査も行われます。

猫の膿皮症の予防方法

猫の膿皮症の予防方法には下のようなものがあります。


膿皮症の予防方法
  • ノミ・ダニの予防を行う
  • 被毛に毛の塊ができないようにブラッシングする(特に長毛種)

など



ブラッシングでは、使用するブラシで皮膚を傷つけないように注意しましょう。


さらに、早期発見・早期治療が大切になります。

猫の性格にもよりますが、可能であればコミュニケーションをとっているときにお腹や背中、首や喉などの毛をかきわけて、定期的に皮膚の状態をチェックし、一か所を過剰に舐める、かむなどの仕草がないかも観察しましょう。

猫が膿皮症になってしまったら

膿皮症になったら感染している細菌に対し、抗生剤を使用します。内用薬や外用薬、抗菌シャンプーなどが使われます。

膿皮症を引き起こす他の病気がある場合はその治療も並行して行われます。


膿皮症の主な治療
  • 抗生剤内服
  • 抗生剤を含む外用薬
  • シャンプー

など


猫では内服が難しい場合もあるので、注射で一定期間効果が持続する抗生剤を投与(注射)することもできます。

ただ、高齢などで腎臓の病気がある場合や脱水しているときは副作用が現れることもあるので、獣医師と相談しながら治療方法を決めていきましょう。


以下は治療費例のひとつです。


治療費例
  • 治療期間:4週間
  • 通院回数:4回
  • 合計治療費用:18,710円
  • 一通院当たりの治療費例:1,000~6,300円(診察料、皮膚検査、内用薬)

※2016年1月~2017年12月末までの実際にあった請求事例になります。
※こちらに記載してある診療費は、あくまでも例を記載したものになります。実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なりますので、ご留意ください。


ブラッシングや皮膚の定期チェックを日ごろから行い、おかしい様子が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。

膿皮症を引き起こす病気がある場合は、治療が長期になることもあります。根気よく治療を行っていきましょう。

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