胃の腫瘍

猫の胃の腫瘍とは

猫の胃の腫瘍は、良性と悪性に分けられます。胃の腫瘍は腫瘍全体の中で占める割合はかなり少なく、その中で良性より悪性の方が多くみられます。

猫の良性、悪性の胃の腫瘍は以下のようなものがあります。


良性の胃の腫瘍
  • 平滑筋腫(へいかつきんしゅ)
  • 腺腫(せんしゅ)

など


悪性の胃の腫瘍
  • リンパ腫(消化管型)
  • 平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)
  • 腺癌(せんがん)

など


●リンパ腫

リンパ腫は血液のがんの一種で、白血球のひとつであるリンパ球ががん化したものです。消化管型リンパ腫は猫の胃の腫瘍の中で最も多くを占めます。リンパ腫は胃のみにできていることもあれば、小腸や肝臓、リンパ節など他の臓器にも同時に発生していることもあります。


●平滑筋腫・平滑筋肉腫

平滑筋腫・平滑筋肉腫はそれぞれ、平滑筋(へいかつきん)という筋肉の腫瘍です。平滑筋は消化管や血管、気道、膀胱などさまざまな器官や内臓を構成する筋肉です。その平滑筋の良性の腫瘍を平滑筋腫、悪性の腫瘍を平滑筋肉腫と呼びます。


●腺腫・腺癌

腺(せん)とは、主に分泌を行う細胞で、胃にも多く存在します。腺腫・腺癌は腺が腫瘍化したもので、良性のものを腺腫、悪性のものを腺癌といいます。猫の胃の腫瘍はまれですが、その中でも猫の胃の腺癌はきわめてまれです。腺腫も、同じく良性の胃の腫瘍である平滑筋腫と比べると発生は少ないです。

猫の胃の腫瘍の症状

胃に腫瘍ができると、慢性的な嘔吐や体重減少などの症状が現れます。

また、潰瘍(かいよう)ができることがあり、胃で出血が起こると消化器症状に吐血や真っ黒な下痢などの症状が加わります。便(下痢を含む)の色が黒くなるのは、血液が上部消化管で消化されることで血液成分が黒くなるためです。


胃の腫瘍の症状
  • 慢性的な嘔吐
  • 体重減少
  • 下痢(色が真っ黒なときもある)
  • 食欲不振
  • 吐血

など


腺癌では、上記のような症状に加え、腫瘍がインスリンに似た物質を出すので、低血糖とそれに起因するけいれんが起こることがあります。

猫の胃の腫瘍の原因

猫の胃の腫瘍の原因は解明されていません。


猫の胃の腫瘍で最も多いのはリンパ腫です。通常、猫のリンパ腫では猫白血病ウイルス(FeLV)が感染していることもよくありますが、胃のリンパ腫では猫白血病ウイルス(FeLV)に感染していない猫がほとんどで、ウイルスとの関連はないのではないかと考えられています。


猫の胃の腫瘍の検査は以下のようなものが挙げられます。


胃の腫瘍の検査
  • 触診
  • 血液検査
  • X線検査
  • 消化管造影検査
    ※造影剤を飲ませ、時間の経過と共にX線検査を行う
  • 超音波検査
  • 内視鏡検査
  • 病理組織検査
    ※内視鏡検査や外科的切除などで採取された組織を顕微鏡で調べ腫瘍の種類や状態などを調べる
  • CT検査

など


必要であればその都度、他の検査も行われます。

猫の胃の腫瘍の予防方法

猫の胃の腫瘍を予防する方法はありません。


慢性的な嘔吐などの消化器症状がみられる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

猫が胃の腫瘍になってしまったら

猫の胃の腫瘍で最も多くみられる消化管型リンパ腫は、化学療法が主な治療法で、場合によっては外科的切除も行われることがあります。


リンパ腫以外の胃の腫瘍は、外科的切除が第一選択となります。

なお、腺癌で起こることのある低血糖は外科的切除を行うことでなくなります。

しかし、腫瘍ができた部位や進行の程度、転移の状況などによっては外科的切除が難しいこともあります。


放射線療法は他の臓器への影響もあり、胃の腫瘍ではあまり行われることはありません。


一般的に胃の悪性腫瘍の経過は厳しいものとなります。

手術を行っても再発や転移の確率は高く、数か月で亡くなることが多いです。


リンパ腫では、腫瘍の細胞が小さいか大きいかで分けられ、腫瘍の細胞が大きいとより高悪性度で、経過もより厳しいものとなります。


慢性的な嘔吐や体重減少などがみられたら、早めに動物病院に連れて行き、診察を受けるようにしましょう。

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