猫の巨大結腸症とは
結腸とは、大腸の一部で、直腸につながるまでの部分を指します。
巨大結腸症とは、結腸が拡張し、結腸の運動機能が著しく低下して、便を排出できなくなっている状態です。
巨大結腸症は猫でよくみられ、犬ではほとんどみられません。
巨大結腸症は慢性的な便秘と関連していることもあるとされています。
猫の巨大結腸症の症状
猫の便秘、または巨大結腸症の症状は以下のようなものが挙げられます。
巨大結腸症の症状
- 何度もトイレでいきむ(排便姿勢をとる)
- 排便の頻度が少ない(何日も出ない)
- 便の量が少量
- 食欲低下
- 元気がない
- 嘔吐
- 体重減少
など
便秘では、便が硬く、排便を嫌がったり、排便するときギャッと声をあげたりすることもあります。
猫の巨大結腸症の原因
巨大結腸症のほとんどは、検査をしても原因が特定できない特発性(とくはつせい)です。
他には、交通事故などによる骨盤骨折で、骨盤腔が狭くなり、そこを通っている腸も細くなって、排便困難となり起こります。
あまり見られませんが、神経の異常で巨大結腸症になることもあります。 自律神経障害や排便に関係する神経の障害などです。
慢性的に重度の便秘が続くと、巨大結腸症になっていくと考えられています。
他には、高カルシウム(Ca)血症や、低カリウム(K)血症、いくつかの薬剤で便秘になりやすくなります。
排便困難や排便できない原因として、腫瘍や異物、腸が一部細くなっている、病気による脱水なども考えられます。
このような慢性的な便秘や排便困難につながる他の要因がないかも、検査で調べていきます。
巨大結腸症の検査は、以下のようなものがあります。
巨大結腸症の検査
- 触診
- 血液検査
- X線検査
- 直腸検査
など
他にも必要な検査があれば行われます。
猫の巨大結腸症の予防方法
慢性の重度の便秘を長期間放置すると、結腸の筋肉や神経系に影響し、正常に働かなくなり、巨大結腸症に移行していく可能性も、中にはあると考えられています。
そのため、便秘は放置することなく、動物病院で対処をしたり、経過を観察していったりすることが大切になります。
猫が巨大結腸症になってしまったら
脱水を引き起こす慢性腎不全など、慢性的な便秘のもととなる病気があれば、そちらの治療を行い、状態を改善します。
慢性的な便秘には、内科的治療として、
- 便を軟らかくする薬や便を出やすくする潤滑剤の投与
- 浣腸
- 定期的な摘便(手で便をかき出す)※
- 療法食
- 食事にサイリウム(繊維質)を混ぜる
などを行います。
※摘便には麻酔が必要なことも多い
ただ、巨大結腸症では外科的治療が必要になることがほとんどです。
- 結腸切除術
- 骨盤拡大術
外科的治療は原因により異なりますが、 などがあります。
結腸切除術とは、運動機能が著しく落ちた結腸を切除する手術です。
術後数週間から数カ月は下痢や軟便が続きますが、次第に落ち着いてくることが多いです。
骨盤骨折などを起こして、骨盤腔が狭くなっている場合は、骨盤腔を広げる手術を行います。
このとき、慢性的な便秘により、結腸の運動機能が低下している場合は、結腸切除術も同時に行われます。
外科手術を行うかどうかは、検査の所見や経過などで判断されますが、獣医師とよく相談し、治療方針を決めていくことが大切です。
猫や排便の様子におかしいところがあれば、動物病院に連れて行きましょう。