花による中毒

犬の花による中毒とは

犬が中毒を起こす植物は、観葉植物や花などを含め、さまざまあります。


消化器症状や神経症状を引き起こす植物、皮膚症状を引き起こす植物など、中毒症状も多様です。

身近にある植物が犬には中毒を起こすこともよくあるので、中毒を起こす植物を知っておくということが大切です。

犬の花による中毒の症状

食べた花により中毒の症状は異なります。


毒性成分や食べた量などにより、症状は以下のように、多岐にわたります。

中毒のさまざまな症状
  • 皮膚症状
  • 眼症状(毒性が皮膚や目についたことによる)
  • 心臓の症状:心拍数の異常や不整脈などの
  • 消化器症状:嘔吐や下痢、腹痛など
  • 神経症状:震え、けいれん、意識障害など
  • ショック症状:ぐったりする、低血圧など
  • 腎障害や肝障害

など



ここでは、犬に中毒を起こす花と、中毒を起こしたときの症状を挙げます。

※以下に紹介する花は中毒を起こす植物の一部です。


中毒を起こす花11種

●アジサイ:葉や花に毒性

症状:青酸配糖体(腸内でシアン化物に変わる)を含み、嘔吐や下痢、ぐったりするなど。

アジサイ


●アサガオ:主に種に毒性

症状:嘔吐、下痢、腹痛など。
種を大量に食べると、まれに過剰に興奮する、うまく動けなくなるなど。

アサガオ


●ヒガンバナ:球根に毒性

症状:嘔吐、下痢、腹痛、脈が遅い、低血圧、低体温、震え、麻痺、けいれんなど。

ヒガンバナ


●キョウチクトウ:種に特に毒性があるが、葉や花にも毒性あり

症状:嘔吐、下痢、よだれを大量に垂らす、腹痛、脈が遅いまたは早い、不整脈、けいれんなど。
死に至ることもある。

キョウチクトウ


●シクラメン:植物全ての部位、特に根

症状:よだれが大量に出る、嘔吐、下痢、不整脈、けいれんなど。

シクラメン


●スイセン:植物全体に毒性、特に球根

症状:よだれが多量に出る、嘔吐、下痢、腹痛、頻脈、不整脈など。
毒性の現われ方はさまざまで、重度の例では心不全や長期の腎障害が起こる。
死亡例も報告されている。

スイセン


●チューリップ:全ての部位に毒性、特に球根

症状:嘔吐、下痢、多量のよだれなど。

チューリップ


●ヒヤシンス:すべての部位に毒性、特に球根

症状:頻回の嘔吐、下痢、のどの腫れ、元気消失、震えなど。
のどの腫れが呼吸困難や窒息につながることがある(かなりまれ)。

ヒヤシンス


●スズラン:全ての部位に毒性、特に花と根、花瓶の水も

症状:嘔吐、心拍数の異常、低血圧、意識障害、けいれんなど。
突然死することもある。

スズラン


●ツツジ(シャクナゲ、アザレア):すべての部位に毒性、密や花瓶の水も

症状:嘔吐、下痢、心不全、不整脈、低血圧、呼吸困難、震え、けいれん、意識障害など。
状態が急速に悪化し、死に至ることもある。

ツツジ(シャクナゲ、アザレア)


●アイリス:根や球根に毒性が高い、また種、茎や花にも

症状:よだれを流す、嘔吐、下痢など。

アイリス


これら以外にも、さまざまな花で犬への毒性が報告されています。

犬の花による中毒の原因

花により毒性成分は異なります。


シュウ酸カルシウム、リコリン、サポニン、青酸配糖体、強心配糖体などが、植物によって、それぞれ、または複数含まれています。


毒性成分や中毒の仕組みが、明確に分かっていないものもあります。


花による中毒の検査は以下のようなものが挙げられます。

花による中毒の検査
  • 血液検査
  • X線検査
  • 超音波検査
  • 心電図

など


他にも必要な検査があれば、行われます。

犬の花による中毒の予防方法

犬の周りに中毒となるような植物を置かないように注意すること、また、散歩中にかじったり食べたりしてしまわないことが予防につながります。


中毒になる花をかじったり、誤食してしまったりした場合は、動物病院に連絡し、必要であれば診察を受けましょう。

犬が花による中毒になってしまったら

犬の状態や誤食してからの経過時間などにもよりますが、

  • 催吐処置
  • 胃洗浄(麻酔が必要)

などが行われることがあります。


必要であれば入院して、輸液療法や活性炭の投与などを行います。


また、花や中毒の重症度により、症状は異なるので、症状に合わせて、

  • 制吐剤
  • 抗けいれん薬
  • 抗不整脈薬

などを使用します。


中毒の原因となった花の種類、誤食した部位や量などによっては、死に至ることもあります。


中毒になる花を誤食してしまった場合は、動物病院にすぐに連絡し、受診しましょう。

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