犬のキシリトール中毒とは
人工甘味料のキシリトールは、砂糖と同じ甘さでカロリーが抑えられ、砂糖の代用として用いられています。
また、キシリトールは、歯垢の中の虫歯の原因菌の働きを弱めることなどから、歯科用の製品でも多く使われています。
代表的なキシリトール製品には、キシリトールが使用されているガム、歯磨き粉、キャンディーなどがあり、他にはクッキーなどにもキシリトールが使用されています。
犬のキシリトール中毒は、低血糖と急性の肝不全を起こし、死に至ることもある危険な中毒です。
ごく少量でも中毒を起こすことがあり、犬により、1 kg当たり同量のキシリトールの摂取でも、回復することもあれば死亡することもあります。
犬のキシリトール中毒の症状
犬のキシリトール中毒の症状は以下のようなものが挙げられます。
キシリトール中毒の症状
- 低血糖症
- 嘔吐
- 下痢
- 元気がない
- 運動失調
- ぐったりしている
- 黄疸※(おうだん)
- けいれん
など
※黄疸の特徴として、粘膜や白眼、皮膚の薄い部分が黄色くなる
摂取してから30分から1時間後に症状が現れることもあれば、12時間以内に症状が遅れて現れる例もみられます。
ある報告では、1 kg当たり0.03 g以上で低血糖が現れたこともあります。
1 kg当たり0.5 g以上の摂取量では、肝臓の壊死(えし)が起こるといわれています。
低血糖は、後々現れることも多いので注意が必要です。
犬のキシリトール中毒の原因
キシリトールは、インスリンの分泌を強く刺激し、急激な低血糖症を引き起こします。
さらに、これに伴い、急性の肝障害(肝不全)も起こります。
これらの詳しい仕組みは分かっていません。
キシリトール中毒の検査では、血液検査が行われます。
低血糖は時間が経過してから現われることも多いので、入院して血糖値をモニターすることがすすめられます。
摂取したものや症状により、超音波検査など必要な他の検査も行います。
犬のキシリトール中毒の予防方法
キシリトールを含んだ製品を犬に誤食させないのが、予防方法となります。
キシリトール製品は、ロックのかかる戸棚など、犬が開けられないような場所にしっかりと保管しましょう。
なお、犬のキシリトール中毒が広く知られる以前は、犬用のおやつにもキシリトールが含まれているものもありました。
成分表を見て、キシリトールが含まれていないことを確認してから与えましょう。
犬がキシリトール中毒になってしまったら
治療は、急性肝不全の治療や、肝不全に伴う血液凝固異常の治療などを行います。
低血糖症の場合は、入院して輸液療法で治療しながら、数時間ごとに血糖値の測定を行います。
低血糖症であれば改善するまで、催吐処置は行いません。
応急処置として自己判断で催吐処置を行わないようにしましょう。
嘔吐があれば制吐剤で抑え、肝臓の保護を目的としたサプリメント(SAMe)などを投与します。
他にも必要な処置や検査があれば行われます。
キシリトール中毒は、少量でも低血糖が起こる可能性があります。
キシリトール製品を食べた時点で異常が目に見えなくても、必ず動物病院に連れて行くことが重要です。
動物病院に連れて行く際は、製品と食べた量をできる限り把握して伝えましょう。