タップすると電話でお問い合わせできます
犬のジステンパーウイルス感染症とは、感染力が強く致死性の高い感染症です。
イヌ科やイタチ科、アライグマ科などの動物がかかり、中でもフェレットは、症状が非常に重篤で、致死率はほぼ100%であることが知られています。
ジステンパーウイルスに対するワクチンの開発によって、感染は今では少なくなりましたが、かつては日本でも猛威を振るいました。
ジステンパーウイルス感染症では、消化器や呼吸器症状、また神経症状が現れます。
内股に発疹が出たり、肉球や鼻に過剰な角質化が起こったりすることもあります。
ジステンパーウイルス感染症の症状は、ウイルス感染後に細菌などの感染が重ねて起こると、症状が重篤化します。
・発熱
・鼻汁
・くしゃみや咳
・結膜炎
・嘔吐
・血便を伴う下痢
・食欲がない
・やせ細る
・けいれん
・震え
・後ろ足の麻痺
など
他には、ブドウ膜炎や視神経炎なども起こります。
けいれんなどの神経症状は、ジステンパーウイルスが脳に侵入し、ジステンパー脳炎や、脳脊髄炎が起こった結果、引き起こされます。
神経症状が出ると、致死率はより高く、経過もかなり厳しいものになり、回復しても神経症状が後遺症として残る例が多いです。
また、症状をほとんど現さなかった犬や、いったん回復した犬でも、一定期間経過してから神経症状が突然現れることがあります。
なお、適切なワクチン接種を続けていないと、成犬でもジステンパーウイルス感染症に感染します。
ジステンパーウイルスは、鼻汁、唾液、眼の分泌液、血液、尿に排出されます。
感染した犬に直接接触すること、分泌物や排泄物に触れること、くしゃみや咳の際に分泌物を吸い込むことで感染します。
なお、人には感染しません。
ジステンパーウイルス感染症の検査は、以下のようなものが挙げられます。
・簡易検査キット※1
・糞便検査
・血液検査
・X線検査
・超音波検査
・神経学的検査
・血清診断(特殊な血液検査)
・PCR検査
など
※簡易検査キットでは、犬の分泌物や排泄物を使用して検出する
他には、診断する検査として、麻酔下でまとまった量の粘膜などの組織を採取し(生検)、病理組織検査や特殊な免疫染色などを用いた免疫学的検査などがあります。
その他にも、必要な検査がその都度行われます。
ジステンパーウイルスに対するワクチンを適切に接種することが、予防方法となります。
初年度に数回、適切な時期に接種をきちんと行い、その後、定期的にワクチンを接種する必要があります。
ジステンパーウイルスのワクチンは、コアワクチンのひとつで、感染力の強さや致死性の高さから、全ての犬に接種されるべきとされているワクチンです。
そのため、混合ワクチンには必ず含まれています。
中には、ワクチンを接種しても、ジステンパーウイルスに対する免疫が十分に確立されない犬もまれにいます。
抗体価(こうたいか)検査を行うと、ウイルスに対する免疫ができているかが確認できます。
抗体価検査に関しては、獣医師に相談してみてください。
ジステンパーウイルスにかかってしまった後の、根本的な治療法はありません。
ジステンパーウイルス感染後は、抗生物質投与や輸液療法などの、体の状態の悪化を防ぐための、症状を緩和する治療を行います。
一度感染し完全に回復すると、ジステンパーウイルスに関する生涯の免疫を獲得します。
ジステンパーウイルス感染症に関しては、適切なワクチン接種が最大の防御となります。
初年度から適切な時期にワクチン接種をしっかりと行い、その後も定期的に継続していきましょう。
また、ワクチン未接種で、消化器症状や神経症状などが出ている場合は、必ずワクチン未接種であることを動物病院に伝えましょう。