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破傷風

破傷風

犬の破傷風とは

破傷風は、土壌中などに広く存在する細菌である破傷風菌(Clostridium tetani)の感染により引き起こされます。

外傷部位から侵入し、潜伏期間は4~5日(数週間のときもある)といわれています。破傷風菌は太鼓のばちのような形をしており、神経毒を産生し持続的な筋肉の緊張を引き起こします。

重症例では数日で死に至ることもある感染症です。


人も破傷風にかかります。法律で「5類感染症」に定められており、診断した医師が7日以内に保健所に届け出る必要があり、動物では「家畜伝染病予防法」により届出伝染病に指定されている重要な感染症です。


破傷風菌に対して馬が最も抵抗性が低く、人、犬、猫の順に破傷風菌への抵抗性が強くなっていきます(他家畜は除く)。具体的には、馬に比べて犬は600倍、猫は6000倍ほど破傷風菌に抵抗性があるといわれています。このことから、犬や猫での破傷風の発生はまれです。

犬の破傷風の症状

破傷風の特徴は筋肉の硬直です。

破傷風の特徴的な症状に、顔面が笑ったような表情になるというものがあります。これは顔面のさまざまな筋肉が収縮し、口唇や目尻、耳がつりあがったように見えるためです。

破傷風の症状は以下のようなものがあります。


<破傷風の症状>

・四肢の硬直

・笑ったような特徴的な顔面

・耳が立っている

・口を開けられない

・飲み込みがうまくできない

・元気がない

・食欲がない

・脱水

・呼吸困難

・けいれん

など


他には、発熱、心拍や血圧の異常がみられることもあります。

犬の破傷風の原因

破傷風は傷口から破傷風菌が感染して起こります。破傷風菌が感染する傷口はすぐ治ってしまい分からなくなるような小さな傷から、大きな傷までさまざまです。

環境中で負ったすり傷や切り傷から、開放骨折のようなもの、あるいは他の犬や猫とのけんかの外傷で感染することがあります。


破傷風は感染した傷口が小さく診察時にはすでに治っている場合もあり、原因が分からないこともよくあります。


感染症では、菌などの病原体の存在を証明したり、血清(血液の成分)を調べ、感染を確認したりします。しかし、破傷風では感染している傷口から破傷風菌を採って育て、破傷風菌の存在を証明するということが難しく、血清診断に関しても結果を参考にできない場合が多いです。

さらにこれらの検査は時間がかかるので、迅速な診断・治療開始が求められる破傷風では、実用的ではありません。

また、他の一般的な血液検査や画像診断も破傷風では特徴的な検査結果は示しません。


よって、発症までの経緯や今までの病歴などを詳しく飼い主様から聴き取ることと、詳細な身体検査、他の疾患の可能性を除くことが破傷風の診断につながります。

他の疾患の可能性を除外するために血液検査やX線撮影等の画像診断などを行います。

犬の破傷風の予防方法

犬には人や馬のように破傷風のワクチンはありません。


飼い主様が分かるような傷が犬にある場合は傷を土壌に触れさせないことが重要ですが、気付くことの難しい傷から感染することもあります。また、すり傷や切り傷だけでなく、けんかによる外傷からも感染するので、他の犬や猫とのけんかを避けるようにしましょう。


犬に異常な様子があればすぐに動物病院に連れて行きましょう。

犬が破傷風になってしまったら

破傷風の治療方法は以下のようなものがあります。


<破傷風の治療>

・抗毒素血清の投与

・抗生剤の投与(破傷風菌の排除)

・筋硬直の緩和(投薬)

・その他脱水などに対する対症療法

・外傷の治療

など


●抗毒素血清の投与

犬と猫の抗毒素血清はないので、馬の抗毒素血清や人の破傷風に対する免疫製剤を使用します。ただ、犬での破傷風の発生はまれなため、抗毒素血清や免疫製剤の入手に時間がかかったり、すぐには入手困難であったりする可能性があります。

さらに、馬の抗毒素血清はアナフィラキシーショックを起こす危険性があること、人の破傷風に対する免疫製剤は1回のみしか使用ができないことなどの副作用や注意点があるので、慎重に投与されます。


●抗生剤の投与

すでに存在する抗毒素に対する治療ではありませんが、破傷風菌への治療を目的として、特定の抗生剤(ペニシリンG、メトロニタゾールなど)を使用します。

抗生剤の投与はある程度の期間続けます。


●筋硬直・けいれんの緩和

筋肉の硬直を緩和する目的で筋肉を緩める作用や抗けいれん作用のある薬を投与します。音や光などの環境中の刺激にも過敏に反応し、けいれんや筋硬直が悪化したりするので、暗く静かな場所で安静にしながら治療を行います。


●全身状態の改善や外傷の治療

他にも、脱水などに対する輸液療法など全身状態を整える対症療法や呼吸困難であれば酸素吸入を行い、外傷の処置や治療が必要であればそちらも行います。


重症例では積極的に治療を行っても数日で命を落とすこともあります。


破傷風は早期に治療を行うことが重要になりますので、おかしい様子があればすぐに動物病院を受診しましょう。


また、状況によっては感染した犬に噛まれて人が感染することもあります。犬が破傷風と診断されたら十分に注意しましょう。

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