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毛包虫症

毛包虫症

犬の毛包虫症とは

毛包虫症(もうほうちゅうしょう)は、ニキビダニ、アカラス、デモデックスなどとも呼ばれる毛包虫が犬の毛包や皮脂腺に寄生し急激に増殖することで、毛包に炎症が起こり脱毛や発赤(ほっせき)が現れる病気です。細菌感染が起こると膿皮症を併発することもあります。


毛包虫はほぼ毛包内で過ごし、1本の毛穴に6~8匹ほど生息するといわれています。毛包虫は肉眼では確認できないほど小さく、ほとんどの哺乳類の皮膚に常在しており、寄生する動物の種類によって毛包虫の種類も少しずつ異なります。

犬の毛包虫は猫や他の動物種には寄生しないことも特徴です。


<毛包虫の寄生模式図>

毛包虫

犬の毛包虫症の症状

毛包虫症になると以下のような症状が現れます。犬に脱毛などの異常が見られたときは動物病院を受診しましょう。


<毛包虫症の主な症状>

・目の周りや口の周りの脱毛
・足先(特に前肢)の脱毛
・色素沈着を伴う脱毛
・かゆみや炎症があまりない
・発赤や発疹はないことが多い


<毛包虫症が悪化するとあらわれる症状>

・部分的な脱毛ではなく全身に広がる
・毛包内で多数の毛包虫が繁殖するため、寄生部位が腫れる
・充血、出血が起こる
・細菌感染によって皮膚がただれる
・かゆみが強くなる

※通常毛包虫の感染のみであればかゆみはほぼありませんが、細菌感染やほかの寄生虫の感染が起こるとかゆみが強くなります。

犬の毛包虫症の原因

毛包虫は、子犬が生まれた後に毛包虫を持っている犬と接触することで感染するといわれており、中でも母犬からの感染が最も多いとされています。そのため、1歳未満の若齢犬での感染が多くみられます。


毛包虫症はウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウェスティー)などのテリア、若年性の場合は中~大型純血種によく発症します。日本ではシーズーやフレンチブルドッグ、ブルドッグなどの短頭犬種に好発します。

また、高齢での毛包虫症の発症は、他に大きな病気が隠れていることが多いです。


毛包虫はもともと毛包に常在する寄生虫なので体調に問題がなければ増殖することはありません。症状が現れるのは、以下のような原因で免疫力が低下したときです。


1.幼犬の場合(~18ヶ月)

皮膚バリアが未熟なため、毛包虫が急激に増えることがあります。

・急速な発育
・予防接種、環境に対するストレス
・内部寄生虫感染
・食事の量が足りないなどの栄養不足


2.成犬の場合

例えば、アレルギー性皮膚炎によりステロイドを長期投与している場合はかかりやすく、再発もしやすいです。

・薬剤の使用:ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤など
・ストレス:発情、分娩、手術後など
など


3.老犬の場合

他の病気や加齢が原因となって免疫力が低下し、発症する場合があります。

・内科疾患:腫瘍、肝疾患、クッシング症候群糖尿病甲状腺機能低下症など
・加齢に伴う皮膚や全身の抵抗力の低下
など

犬の毛包虫症の予防方法

毛包虫は皮膚に常在する寄生虫ですが、抵抗力が下がったときに毛包虫症が発症します。抵抗力を下げないように、次の点に気を付けることが大切です。


・良質なドッグフードを選ぶ
・おやつや人間の食事がメインにならないように気を付ける
・快適な湿度温度管理を行う
・予防接種やノミダニ、フィラリアなどしっかり予防する
・定期的にシャンプーを行い、皮膚を清潔に保つ
・体調が悪いときには様子を見ず早めに動物病院を受診する


このように、健康管理をしっかり行うことで毛包虫症は予防できる可能性が高くなります。

犬が毛包虫症になってしまったら

毛包虫症を発症したタイミングによって治療法は異なります。


1.幼犬の場合

抵抗力がつくと自然に治る場合があり、局所的な毛包虫症であればシャンプーなどの外用療法を中心に治療を行いながら経過観察をすることもあります。

ただし毛包虫症が全身に広がる場合や、細菌感染を伴う場合は積極的に投薬を行い治療しなければなりません。(投薬内容については≪2.成犬の場合≫で解説します。)


2.成犬の場合

殺ダニ効果のあるイベルメクチンやミルベマイシンなどを投与します。

イベルメクチンやミルベマイシンは、フィラリア症にかかっている犬は投与後ショック症状を起こすこともあるので投与できません。よって、フィラリア症の可能性がある犬は血液検査で確認してから投薬します。


イベルメクチンは投与後に元気喪失や食欲不振、嘔吐やふらつきなどがみられる場合があります。最初は少量から投与し、徐々に薬の濃度を上げていきます。投与量をよく守り、イベルメクチン投与後にはいつもと違う様子はないかしっかり観察しましょう。


また、コリー、シェルティ、ボーダーコリー、コリーのミックスなどの犬種にはイベルメクチンは投与しない方が良いといわれています。コリー系の犬種では薬の代謝に必要な遺伝子に欠如や異常がある可能性が高く、薬の中毒を起こしやすいためです。


他の治療としては、細菌感染を伴う場合は抗菌薬を使用します。

なお、アレルギー性皮膚炎や免疫を低下させるような疾患があると、治りきらない、再発しやすい場合があります。


3.老犬の場合

成犬の場合と治療法はほぼ変わりませんが、内科疾患などの大きな病気が抵抗力を下げる原因になることが多いので、他の病気の検査(血液検査など)も必要であれば行います。

毛包虫症を発症、悪化させやすい病気が見つかれば、同時に治療を行います。この場合は再発しやすく、治療も長期化する可能性があります。


治療費の一例は以下の通りです。これは5カ月齢で毛包虫症に感染し、イベルメクチンを内服した例です。


治療費例

治療期間:7週間
通院回数:5回
合計治療費用:18,228円
一通院当たりの治療費例:1,700~6,600円(診察料、皮膚検査、内用薬)

※こちらに記載してある診療費は、あくまでも例を記載したものになります。実際の料金は各病院によって異なりますので、ご留意ください。


毛包虫症は現在では治療法も治療薬もさまざまです。治療をしっかり行い、検査で毛包虫(ニキビダニ)がいないか確認しましょう。

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