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膿皮症

膿皮症

犬の膿皮症とは

膿皮症(のうひしょう)とは、主に皮膚の常在菌であるブドウ球菌の感染による皮膚炎です。

体を舐める行動により全身に広がり、表皮に感染すると考えられています。


膿皮症は犬では非常に多くみられ、その理由として、

① 皮膚が薄い(ヒトの1/6の厚み)
② 皮膚のpHが細菌の増殖しやすい弱アルカリ性

などが挙げられます。


皮膚の抵抗力が下がったときに発症し、丘疹(きゅうしん:赤い発疹)や膿疱(中心に膿を持つ発疹)が形成され、かゆみや脱毛を伴うこともあります。

下腹部や内股・背側によく起こるので、症状がないかチェックすることが大切です。


また、膿皮症には炎症が起こる部位によって「表在性(浅在性)膿皮症」と「深在性膿皮症」があります。

表在性膿皮症は表皮付近で炎症を起こし、深在性膿皮症はそれより下の真皮や皮下組織で起こる炎症です。


深在性膿皮症の方が一般的に炎症は強く、炎症部には結節と呼ばれる1㎝以上の大きな隆起が見られます。

さらに悪化すると真皮より下の皮下組織にまで炎症が広がり、激しい症状が出る皮膚炎になる場合があります。

深在性膿皮症は治療が長期化する場合が多いです。


犬の皮膚炎で最もよくみられるのは表在性膿皮症です。


今回はその表在性膿皮症について解説します。

犬の膿皮症の症状

膿皮症の症状の代表的なものは以下の症状です。


<膿皮症の主な症状>

・赤い発疹(丘疹)
・膿を持った発疹(膿疱)
・かゆみ
・脱毛
・発赤を中心に環状に皮膚がめくれる(表皮小環)
・色素沈着が起こり、皮膚が薄く黒ずむ


膿皮症はかゆみを伴うので皮膚を引っかいて傷がたくさん入り、発赤(ほっせき)、湿疹、脱毛を起こしてしまいます。

膿疱が拡大し破裂すると、発赤を囲んで環状に薄く皮がめくれた状態である表皮小環(ひょうひしょうかん)ができます。

表皮小環の段階を過ぎると、表皮小環のめくれた皮膚が剥がれ落ちた後、黒い粒が集まったような色素沈着ができます。

この色素沈着は多くは数ヵ月間残りますが、少しずつ薄くなります。

犬の膿皮症になる原因

膿皮症は主に皮膚に常在しているブドウ球菌が異常に増殖することが原因です。


皮膚には常に細菌や真菌(カビ)が付着しますが、皮膚の抵抗力(バリア機能)があれば、その細菌が原因となり炎症を起こすことはほぼありません。


皮膚には次のようなバリア機能があります。

① 被毛:光や熱の刺激から表皮を保護し、皮膚環境を一定に保つ
② 表皮:表皮表面の脂質膜や細胞間の皮脂による水分の保持。細菌などの侵入防御
③ 表皮の常在菌:他の細菌の侵入防御や増殖抑制
④ 免疫防御機構:表皮から侵入した細菌などからの防御


膿皮症の発症にはこのような皮膚のバリア機能を低下させる要因が関与しています。


以下のような要因が皮膚のバリア機能を下げてしまい、膿皮症を引き起こしやすくなります。


<皮膚バリア機能を低下させる要因>

・抵抗力の弱い「若齢犬」「高齢犬」
・高温多湿の環境(密な被毛下の皮膚など)
アレルギー性皮膚炎(アトピー、ノミアレルギー、食物アレルギーなど)
・外部寄生虫(ノミ、ヒゼンダニ毛包虫など)
・すり傷など物理的障害(しわの部分など)
・内分泌疾患(甲状腺機能低下症クッシング症候群など)
・自己免疫性疾患
・その他の全身性疾患(糖尿病や腫瘍など)
・ステロイド剤の長期投与
など

犬の膿皮症の予防方法

膿皮症は皮膚に常在するブドウ球菌感染が主な原因となり、皮膚の抵抗力が下がったときに発症しやすくなります。


抵抗力を下げないように、以下のポイントを意識することが大切です。


<抵抗力を下げない方法>

・良質なドッグフードを選ぶ(動物病院で相談してみましょう)
・おやつや人間の食事がメインにならないように気を付ける
・快適な湿度・温度管理
・予防接種やノミダニ、フィラリアなどしっかり予防する
・定期的にシャンプーを行い、十分に洗い流し毛の根元までしっかり乾かす
・体調が悪いときには様子を見ず早めに受診する
など


このように、健康管理をしっかり行うことで膿皮症は予防できる可能性が高くなります。


また、こまめに皮膚の状態をチェックし、かゆがり症状がすぐに引かないようなら、動物病院を受診しましょう。


膿皮症が最も起きやすいのは高温多湿になる梅雨や夏なので、その時期は特に注意してください。

犬が膿皮症になってしまったら

膿皮症は細菌感染なので、原因になるブドウ球菌にに対して有効な抗生剤を最低でも2~3週間投与します。

症状が良くなっても細菌が潜んでいる場合があるため、3週間は継続することが多いです。


治療を継続しても良化しない場合は、原因菌を特定し、どの抗生剤が最も効果があるかを確認するために、「細菌培養検査・薬剤感受性検査」を行います。

その結果により薬剤を選択します。


以下は治療費の一例です。この例は小型犬です。


治療費例

治療期間:2か月
通院回数:8回
合計治療費用:19,118円
一通院当たりの治療費例:3,000~6,000円(診察料、院内薬剤感受性検査、内用薬、消毒薬、サプリメント)

※2016年1月~2017年12月末までの実際にあった請求事例になります。
※こちらに記載してある診療費は、あくまでも例を記載したものになります。実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なりますので、ご留意ください。


ほかに、抗菌作用のある薬用シャンプー、または消毒薬の薬浴(肢先など部分的な場合)を使用することも、膿皮症の治療では重要です。

薬用シャンプーは、薬用成分を体に留めるために泡を5~10分ほど置きます。

薬用シャンプーを処方された際に、使用方法を動物病院で詳しく聞くと効果的に使用できます。


また、被毛も紫外線や刺激などから皮膚を守る機能の一部なので、皮膚を露出させない程度に毛を残すようにしましょう。

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