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誤嚥性(ごえんせい)肺炎とは、吸引性肺炎ともいわれます。
物を飲み込むことを、嚥下(えんげ)といい、本来口から食道へと入るものが、気管へと入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。
誤嚥性肺炎とは、気管に本来入るべきではないもの(異物)が入ってしまい、異物やそれに付着した細菌により肺に炎症が起こっている状態です。
誤嚥性肺炎は、急激に症状が悪化し、重度であれば突然死や治療を行っても死に至ることもあります。
誤嚥性肺炎の症状とは、以下のようなものがあります。
せき込む 呼吸がしんどそう 呼吸時に音がする(喘鳴) 呼吸困難 発熱 食欲不振 元気がない ぐったりしている など
誤嚥性肺炎の原因として、 巨大食道症(食道拡張症)で吐き戻し(吐出)のある犬 意識レベルの低下時、または麻酔下、麻酔の覚醒時の嘔吐 強制給餌や投薬、造影剤の誤飲 などが挙げられます。
誤嚥性肺炎では、誤嚥した物質により、 胃酸などが化学的に肺を損傷する 気道(ほとんどが小さな気管支)を物理的に塞ぐ 感染 が生じ、さらにそれに起因するさまざまな反応が起き、急性の炎症を引き起こします。
これらの反応や炎症により、うまく酸素と二酸化炭素の交換ができなくなり、低酸素症が起こり、死に至ることもあります。
誤嚥性肺炎では、誤嚥がきっかけとなり、短時間で急激な状態の悪化を招くこともあり、経過や状態によっては突然死の危険性も高い疾患です。
誤嚥性肺炎での検査は、以下のようなものが行われます。
聴診 口腔内の検査(視診) 血液検査 X線検査 など
状態が悪ければ、先に酸素吸入を行い、その間にできる検査を順次行うということもあります。
検査結果だけでなく、今までの経過や発症前の嘔吐や食事など、発症のきっかけとなるようなことなども診断上、重要です。
誤嚥性肺炎は、巨大食道症などの食道疾患が原因となっていることもあり、その疑いが高い場合は、状態が許せば造影検査も行われます。
誤嚥性肺炎の原因となる疾患を調べるなど、必要であれば他の検査も行われます。
強制給餌や寝て起きたばかりで横になった状態での給餌(介護時など)では、誤嚥しやすくなっています。
また、誤嚥性肺炎になりやすい基礎疾患(特に巨大食道症)を持っている犬では、犬の状態に注意し、おかしい様子があれば動物病院で受診することが大切です。
誤嚥性肺炎では、入院して集中的な治療が必要になることが多いです。
誤嚥性肺炎の治療は、以下のようなものがあります。
酸素吸入(ICU管理) 抗生剤の投与 気管支拡張薬 ネブライザー 輸液療法 など
誤嚥性肺炎になりやすい病気がある場合は、治っても繰り返し誤嚥性肺炎にかかることがあります。
退院後も状態に注意し、状態の悪化があれば受診することが大切です。
食欲や元気さを含め、犬の様子、呼吸の様子などを日頃から観察しておき、異常があれば動物病院に連れて行きましょう。