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ホルネル症候群

ホルネル症候群

犬のホルネル症候群とは

ホルネル症候群とは、脳から出て最終的に眼につながる交感神経の異常により、眼やその周りに現れるさまざまな症状の集まりをいいます。

その特徴的な外観は神経の損傷や異常を指し示すものなので、他の所見と合わせて異常部位をおおまかに特定できたり、気付かなかった疾患を発見できたりすることがあります。

犬のホルネル症候群の症状

ホルネル症候群は

・縮瞳(しゅくどう)

・瞬膜突出(しゅんまくとっしゅつ)

・眼瞼下垂(がんけんかすい)

・眼球陥没(がんきゅうかんぼつ)

の4つの症状から成ります。


片側のみでみられることがほとんどです。


●縮瞳(しゅくどう)

縮瞳とは、瞳孔が小さくなっている状態のことです。ホルネル症候群では異常がある側の眼で症状が見られるので、正常な眼の方だけ瞳孔が小さくなっている状態がよくみられます。


●瞬膜突出(しゅんまくとっしゅつ)

瞬膜とは目頭側から眼尻に向かって眼を覆う白っぽい膜で、寝ているときや目に痛みがあるとき、体調が悪い場合などに出てくることが多いです。瞬膜は通常は目頭側に引っ込み、あまり目立たないことがほとんどですが、ホルネル症候群では瞬膜が目頭側から出てきて眼球の一部を覆う瞬膜突出の状態になります。


●眼瞼下垂(がんけんかすい)

眼瞼(がんけん)とはまぶたのことで、眼瞼下垂とは上まぶたが通常より下に垂れ下がり眼が閉じ気味に見える状態をいいます。


●眼球陥没(がんきゅうかんぼつ)

眼球陥没とは、眼の内側に落ちくぼんでいるような状態を指します。


全体的な見た目は、異常のある側の眼の瞳孔が小さくなる、目頭側から眼を覆う膜が出てくる、まぶたが垂れる、眼が落ちくぼむといった症状が現れるので、異常のある側の眼の大きさが少し小さいような印象を受けます。

犬のホルネル症候群の原因

ホルネル症候群は、脳から出て眼の後ろ側につながる交感神経のいずれかの部分に損傷や炎症などで異常があるときに見られる複数の症状です。


脳から出た交感神経は脊髄を通り胸椎で脊髄から分かれ反転し、胸や首、中耳腔を通り眼へとつながります。


<ホルネル症候群に関係する交感神経経路>

ホルネル症候群に関係する交感神経経路

この経路のいずれかの部位で異常があるとホルネル症候群が発症するので、さまざまな原因疾患が挙げられます。

炎症や外傷による損傷、あるいは腫瘍(しゅよう)や椎間板突出による物理的な圧迫に起因するものなど多様です。これらのように具体的な原因が分かることもあれば、検査上では異常な所が出てこず原因不明な場合もあります。


<ホルネル症候群を引き起こす疾患>

中耳炎

・外傷(交通事故など)

・脊髄損傷

・椎間板突出

・梗塞(こうそく)

・腫瘍(中耳内など)

・炎症性疾患

など


ホルネル症候群の原因疾患はさまざまなので、検査方法もいろいろな角度から行われます。


<ホルネル症候群の検査>

・触診

  ※体を触って異常な所がないかを調べる

・神経学的検査

・眼科検査

・耳鏡検査

  ※耳の中(鼓膜まで)を耳の穴から見る検査

・耳垢検査

・血液検査

・X線検査

・CT検査/ MRI検査

など


症状や経過、ホルネル症候群以外の他の所見など合わせて判断し、必要な検査が行われます。

犬のホルネル症候群の予防方法

ホルネル症候群が現れる原因のひとつとして中耳炎がありますが、中耳炎は細菌性外耳炎から広がることが多いので、耳のチェックを定期的に行い、異常があれば早めに動物病院を受診しましょう。

また、外耳炎であればしっかりと治るまで治療を継続することも大切です。


他には、交通事故など腕の外傷でもホルネル症候群が出ることがあります。散歩中や外出時は必ずリードを付け、犬をしっかりコントロールできる状態にしておきましょう。

さらに、ホルネル症候群に関わる脳から出て眼へとつながる交感神経は首も通るので、リードをつなげるのは首輪や首のしまるようなチェーンではなくハーネスを使用した方が首を損傷する可能性は低くなります。

犬がホルネル症候群になってしまったら

ホルネル症候群の原因となる疾患があればその治療を行います。

原因疾患がない場合では経過観察を行い、自然治癒する例もあります。


ホルネル症候群は分かりやすい見た目であったり、飼い主様では分かりにくいケースもあったりします。眼がなんとなく小さくしょぼついているように感じてよく見てみると、瞬膜がいつもより出ていて瞳孔が片側だけ小さいということもあります。

飼い主様がすべての異常を見つけることは難しいですが、知識として頭の片隅に置いておくことで普段は見つけられないような異常に目を向けられることもあるかもしれません。


意識的に眼や耳などを見たり、体を触ったりすることなどを定期的に行うことで異常が見つかりやすくなります。そして、異常があれば早めに動物病院を受診しましょう。

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