顔面神経麻痺

犬の顔面神経麻痺とは

顔面神経は、12対ある脳神経の中のひとつで、第Ⅶ脳神経です。


顔面神経は、主に表情筋の運動を支配しています。
また、涙腺や唾液腺の分泌にも関与します。


そのため、顔面神経麻痺が起こると、表情が分かりにくくなる、顔の筋肉が緩む、涙の量が減るなどの症状が起きます。


犬の顔面神経麻痺は、そのほとんどが、検査でも原因が特定されない特発性(とくはつせい)に分類されます。

犬の顔面神経麻痺の症状

顔面神経麻痺では、顔の筋肉を動かすことができなくなるので、まばたきができない、唇が垂れさがるなどの症状が現れます。


ただ、この変化は気付かれないことも多く、食べ物をぼろぼろとこぼしてうまく食べられないという訴えから動物病院を受診し、顔面神経麻痺が分かることもよくあります。


顔面神経麻痺の症状は、以下のようなものが挙げられます。


顔面神経麻痺の症状
  • まばたきができない
  • 唇や耳が垂れている
  • 食べ物をうまく食べられない

など


顔面神経麻痺は、片側のみ起こることも多いです。


原因となっている疾患や障害されている部位、その状態により、前庭障害ホルネル症候群がみられることもあります。

※ホルネル症候群とは、交感神経の障害により、特徴的な4つの症状が現れている状態のこと。


また、原因となる疾患がある場合は、顔面神経麻痺以外にも神経学的な異常や他の症状が現われたりします。

犬の顔面神経麻痺の原因

顔面神経麻痺は、さまざまな原因で発症します。


その中でも、検査上で原因が特定されない特発性(とくはつせい)に分類されるものが、犬ではよくみられます。


特発性顔面神経麻痺では、突然症状が現れ、炎症を伴います。


他には、

  • 中耳炎
  • 内耳炎
  • 腫瘍
  • 外傷
  • 耳内異物
  • 手術による発症(一過性も多い)

などが原因として挙げられます。


顔面神経麻痺の検査は、以下のようなものがあります。


顔面神経麻痺の検査
  • 視診
  • 神経学的検査
    • 眼瞼(がんけん)反射
    • 威嚇(いかく)まばたき反応
    • 角膜反射
    • など

  • 血液検査
  • 耳の検査
  • X線検査
  • CT検査/MRI検査

など


他にも、必要な検査があれば行われます。

犬の顔面神経麻痺の予防方法

顔面神経麻痺は、中耳炎や内耳炎から起こる例もあります。


中耳炎や内耳炎は、細菌性の外耳炎から広がってなることがよくあるので、耳の様子を日頃からよくチェックし、異常があれば早めに受診し、治療を行うことが大切です。


ごはんをこぼすようになるなどおかしい様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

犬が顔面神経麻痺になってしまったら

中耳炎、内耳炎、腫瘍など、顔面神経麻痺の原因となる病気がある場合は、その治療が行われます。


検査を行っても原因が特定できない特発性の顔面神経麻痺では、基本的には、治療は行いません。


ただ、ビタミン剤などを補助的に与えることもあります。


通常、2週間から数カ月ほどで回復がみられるようになります。


回復するまでの期間は忍耐を要し、それまでの間にご飯を食べるときの補助や目の表面の保護のために点眼を行ったりします。


特発性顔面神経麻痺は、完全に回復することもあれば、一部麻痺が残ることや、麻痺が生涯続くこともあります。


食べ方や犬の様子がおかしければ、動物病院に連れて行きましょう。

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