セロイドリポフスチン症
セロイドリポフスチン症
犬のセロイドリポフスチン症とは
セロイドリポフスチン症(CL:Celoid Lipofuscinosis)とは、遺伝性の疾患で、脳などの神経や網膜、全身の細胞に、セロイドリポフスチンという色素が蓄積して起こる病気です。
細胞内にはリソソーム(ライソゾーム)という、老廃物や傷ついた自分の細胞などを、酵素を使って分解・消化する小器官があります。
分解したものはまた別の物の材料として使われたりするので、細胞内のリサイクル工場によく例えられます。
セロイドリポフスチン症では、遺伝子変異により、リソソームでの分解に必要な酵素が欠損し、老廃物が細胞内のリソソームに蓄積して、細胞が死んでいきます。
そのため、セロイドリポフスチン症はリソソーム(ライソゾーム)蓄積病と呼ばれる疾患のひとつでもあります。
他のリソソーム(ライソゾーム)蓄積症では、柴犬でのGM1ガングリオシドーシスが有名です。
また、セロイドリポフスチン症は、治療法のない致死的な遺伝性疾患です。
国内では、
ボーダー・コリー
チワワ
などで発症が報告されており、他にも、多様な犬種での発生が認められています。
犬のセロイドリポフスチン症の症状
セロイドリポフスチン症の症状は多様です。
約1歳から2歳の間に発症することが一般的です。
セロイドリポフスチン症の症状は、以下のようなものが挙げられます。
<セロイドリポフスチン症の症状>
・行動異常
-攻撃性
-活動過多
-頭を振る
-痴呆など
・音などに過敏になる(怖がる)
・視覚障害
・震え
・歩き方がぎこちない
・うまく歩けない、起き上がれない
・けいれん
など
犬のセロイドリポフスチン症の原因
セロイドリポフスチン症は、さまざまな犬種で、さまざまな部位での遺伝子変異が見つかっており、国内ではボーダー・コリーでの発症がよく知られています。
遺伝子変異により、セロイドリポフスチンが分解されず、細胞内に蓄積し、発症します。
特に神経細胞へのセロイドリポフスチンの蓄積により、神経症状が中心に現れます。
セロイドリポフスチン症を発症した犬で、遺伝子変異が特定されていない犬種もあります。
<セロイドリポフスチン症の検査>
・神経学的検査
・血液検査
・X線検査
・眼科検査
・CT検査/MRI検査
・遺伝子検査
など
セロイドリポフスチン症の確定診断は、病理組織検査ですが、生前には行えません。
経過や検査所見、犬種や発症年齢などから総合的に判断されます。
犬のセロイドリポフスチン症の予防方法
セロイドリポフスチン症の予防方法はありません。
ただ、遺伝性疾患なので、セロイドリポフスチン症が発症する犬が生まれないように、繁殖計画を立てることが、唯一の予防方法といえます。
セロイドリポフスチン症を発症した犬の両親、きょうだい、血縁の犬での発症や繁殖には十分注意する必要があります。
犬に異常がみられたら早めに動物病院に連れて行きましょう。
犬がセロイドリポフスチン症になってしまったら
セロイドリポフスチン症の治療法はありません。
動物病院では症状を和らげる対処法があれば行い、飼い主様が犬の状態に合わせて生活の補助などケアをしていくことになります。
治療法のない進行性、致死性の病気なので、重度になってくると、安楽死を選択肢に入れる場合もあります。
犬の様子がおかしければ、動物病院で診察を受けましょう。