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前庭疾患

前庭疾患

犬の前庭疾患とは

前庭疾患とは、前庭と呼ばれる平衡感覚をつかさどる領域が侵されたことにより神経症状が現れた状態です。


犬が老齢になると前庭疾患にかかることがあり、突然眼球が小刻みに揺れだしたり、その場でぐるぐる回り立っていられず転倒したりするなどの症状が現れます。


前庭は、末梢前庭と中枢前庭に分けられます。

・末梢前庭:内耳の三半規管と前庭と前庭神経(内耳神経のひとつ)。

・中枢前庭:橋、延髄(えんずい)の一部。小脳の一部(片葉:へんよう)も密接に関わる。


この末梢、中枢前庭のどちらが侵されているかで、その後の状態が大きく変わります。


<末梢前庭の模式図>

末梢前庭

<中枢前庭の模式図>

中枢前庭

犬の前庭疾患の症状

犬の前庭疾患の主な症状は、首を傾けたように頭が斜めになる捻転斜頸(ねんてんしゃけい)、眼球が意思とは関係なく小刻みに揺れる眼振(がんしん)、一方向に円を描くようにぐるぐる回る旋回などの神経症状です。


眼振は動物ではわかりにくいですが、白眼の動きを観察するとわかりやすいです。眼球が揺れる方向が縦方向か横方向かなどが病態把握のヒントとなります。


嘔吐や食欲不振、元気消失が伴うことも多く、歩くとよろめいて横転し、立っていられない状態になることもしばしばあります。


<前庭疾患の主な症状>

前庭疾患の主な症状

<犬の前庭疾患の症状>

・斜頸
・眼振
・旋回
・倒れる、横転する
・食欲不振
・よだれを大量に垂らす
・嘔吐
・元気消失
など


発症した前庭疾患が一時的なものか深刻なものかについては、症状が日に日に悪化するのか、他のさまざまな神経症状や神経障害の兆候が現れないかなどで判断することもあります。

犬の前庭疾患の原因

前庭は末梢(内耳)と中枢(脳)で場所が分かれることを前述しましたが、発症する前庭疾患の多くは末梢性のものです。中枢性前庭疾患は比較的まれで、経過も悪いです。


原因もそれぞれ末梢と中枢で分けられます。

末梢性の前庭疾患の原因として主なものは中耳炎、内耳炎、老犬での特発性前庭疾患です。他には内耳の腫瘍や外傷、先天性のものなどあります。

一方、中枢性の前庭疾患では外傷や出血、髄膜脳炎、腫瘍(しゅよう)、脳梗塞(のうこうそく)などが挙げられます。


<末梢性前庭疾患の主な原因>

中耳炎内耳炎
・老犬の特発性前庭疾患
・内耳腫瘍
・外傷
・先天性
・聴毒性のある薬剤、化学物質
など


<中枢性前庭疾患の主な原因>

・脳炎
・腫瘍
・脳梗塞
・外傷や出血
など


前庭疾患で起こる症状は他の神経症状が現れる疾患でもよく見られるものもあります。観察や検査により前庭疾患かどうか、またどの部位で異常が起こっているのかを、明らかにしていきます。

前庭疾患で行われる検査には以下のようなものがあります。


<主な検査方法>

・耳鏡検査
・歩行検査
・神経学的検査
・血液検査
・CT検査、MRI検査
など

犬の前庭疾患の予防方法

犬の前庭疾患の中に中耳炎内耳炎が原因で起こっているものがあります。外耳炎が進行し炎症が広がって中耳炎や内耳炎になる例も多くあるので、外耳炎の早期治療により予防できる場合もあります。


老齢の犬では突然原因不明で前庭疾患が発症することがあります。この場合、飼育環境を日ごろから整えておくことで、突然発症した後の状況の悪化を防ぐことができます。

例えば、飼い主様の外出時、気温や湿度が高い日に発症してしまった場合、繋いでいる縄やチェーンが絡まり食い込んでしまって動けないことにより熱中症や脱水などの危険が高まるなどの可能性があります。

よって、屋外飼育の場合は絡まったときに傷つく可能性があるのでチェーンは使わない、気温や湿度が高い日、気温が低い日などは室内に入れるなどの住環境を快適にしておくことが結果的に対策になるでしょう。

犬が前庭疾患になってしまったら

前庭疾患はそれぞれの原因に対し治療しますが、老齢性の特発性前庭疾患に対しての原因を取り除く治療法は特にありません。

嘔吐に対し制吐剤、水分摂取が困難で脱水がみられる場合は輸液療法、食事補助などが行われます。脳炎などが疑われる場合にはステロイドが投与されることもあります。

老齢性の特発性前庭疾患に関しては、発症後は数日で改善がみられ数週間でよくなることが多いです。


治療費の一例は以下の通りです。老齢性の前庭疾患を発症した中型犬の例です。

最初の数日は連日通院がありましたが、その後症状の改善がみられ内用薬のみで治療が終了しています。


治療費例

治療期間:6週間
通院回数:7回
合計治療費用:36,340円
一通院当たりの治療費例:1,200~15,000円(診察料、血液検査、注射、皮下点滴、内用薬)

※2016年1月~2017年12月末までの実際にあった請求事例になります。
※こちらに記載してある診療費は、あくまでも例を記載したものになります。実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なりますので、ご留意ください。


腫瘍や脳炎が疑われる場合はMRI検査などの画像診断が行われ、結果により獣医師と治療の可否も含めて相談していくこととなります。

前庭疾患を発症する犬は高齢の場合が多く、全身麻酔下での検査を行うかどうかについてもしっかりとした話し合いが必要になります。

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