進行性脊髄軟化症

犬の進行性脊髄軟化症とは

進行性脊髄軟化症とは、突然起こった重度の脊髄障害の犬で発症する進行性の脊髄壊死(えし)です。


椎間板ヘルニアなどによる脊髄の障害部分から、頭側、尾側に向かい、脊髄の壊死が進行していきます。


ごくまれに、進行が止まる例も中にはありますが、進行性脊髄軟化症を発症したほぼ全ての犬は、麻痺により呼吸ができなくなり、死に至ります。


椎間板ヘルニアで後ろ足が麻痺になってから、数日後に発症することもあるので、緊急的に手術を行ったものの、そのあと進行性脊髄軟化症により亡くなったという例もあります。


複数の報告では、最重度(グレード5)の椎間板ヘルニアを患った犬の1割ほどで発症がみられています。

※椎間板ヘルニアのグレード5とは、足や膀胱が麻痺し、強い痛みに対する感覚(深部痛覚)も完全になくなっている状態。


後ろ足の完全麻痺が起こって(グレード5)から、1週間から10日以内で、進行性脊髄軟化症のなんらかの症状がみられなければ、発症する可能性は低いといわれています。

犬の進行性脊髄軟化症の症状

進行性脊髄軟化症は、重度の椎間板ヘルニアの犬に起こります。


進行性脊髄軟化症は、脊髄障害が起こっている部分から、頭側、尾側それぞれに向かって麻痺が進行します。


そして、麻痺以外にも症状がみられることもあります。


進行性脊髄軟化症では、以下のような症状が現れます。


進行性脊髄軟化症の症状
  • 進行性の麻痺
  • 元気や生気がない
  • 発熱
  • 食欲低下
  • 嘔吐
  • 血圧低下
  • 激しい知覚過敏(少しの刺激が激しい痛みとなる)

など


通常、進行性脊髄軟化症が発症してから、数日から1週間ほどで死に至ります。

犬の進行性脊髄軟化症の原因

進行性脊髄軟化症の発症の原因は分かっていません。


椎間板ヘルニア以外にも背骨の骨折など、急性の脊髄障害で引き起こされることがあります。


日を追って麻痺が進行していくか、神経学的検査を行います。


今のところ、画像診断や手術での判断は、予測はできますが、全ての症例では進行性脊髄軟化症の発症の有無を確実にはいい切れません。

犬の進行性脊髄軟化症の予防方法

進行性脊髄軟化症の予防方法はありません。

犬が進行性脊髄軟化症になってしまったら

進行性脊髄軟化症には、治療法はありません。


最終的に呼吸するために体を動かす神経が麻痺するので、呼吸ができなくなり、死に至ります。


進行が止まらないようであれば、呼吸不全で亡くなるので、苦しみを避ける目的で安楽死が選択肢として挙げられます。


急性で重度の椎間板ヘルニアでは、あまり時間を置かずに手術を行うことが多いので、術後に進行性脊髄軟化症が発症し、死亡することもあります。


なお、手術前に進行性脊髄軟化症が確定的な場合は、一般的に手術はすすめられません。

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