好酸球性角結膜炎
好酸球性角結膜炎
猫の好酸球性角結膜炎とは
好酸球性角結膜炎(こうさんきゅうせいかくけつまくえん)とは、猫特有の眼疾患です。
増殖性角結膜炎(ぞうしょくせいかくけつまくえん)とも呼ばれます。
片目または両目に起こり、結膜、角膜、眼球を囲む目の穴である眼窩(がんか)に炎症が起こります。
好酸球性角結膜炎の「好酸球」とは、白血球の一種で血液中に見られるほか、寄生虫感染のときなどに炎症部位に出てくる免疫やアレルギーに関連する血液の細胞です。
好酸球性角結膜炎は、猫ヘルペスウイルス感染症と深い関わりがあるといわれています。
猫の好酸球性角結膜炎の症状
猫の好酸球性角結膜炎の症状は以下の通りです。
<好酸球性角結膜炎の症状>
・結膜充血
・角膜が白っぽくなる
・白色の組織が角膜上に増殖する
・血管が角膜の上に伸びてくる(血管新生)
など
猫の好酸球性角結膜炎の原因
好酸球性角結膜炎の半数以上は猫ヘルペスウイルス感染症に関連しているといわれています。
猫ヘルペスウイルス感染症は、
・結膜炎
・角膜炎
・眼球癒着
・角膜黒色壊死症
・角膜潰瘍
・乾性角結膜炎(KCS)
など、さまざまな眼疾患や眼症状に関連していますが、好酸球性角結膜炎もそのひとつに含まれます。
また、好酸球性角結膜炎は、免疫介在性すなわち自己の免疫異常によっても起こります。
好酸球性角結膜炎の検査は以下のようなものが挙げられます。
<好酸球性角結膜炎の検査>
・細隙灯検査(スリットランプ検査)※
・めやにや結膜、眼球上の細胞診
・フルオレセイン染色(角膜染色)
など
※細隙灯検査(スリットランプ検査)とは、細い光を目に当て、角膜や眼球の中を観察する検査
細胞診(採材したものを顕微鏡で観察する)で、めやにや眼球上に好酸球の存在があることが、好酸球性角結膜炎の特徴です。
他の眼科検査、血液検査やウイルス検査など必要な検査があればその都度行われます。
猫の好酸球性角結膜炎の予防方法
猫の好酸球性角結膜炎は、猫ヘルペスウイルス感染症に関連して起こることが多いです。
そのため、猫ヘルペスウイルス感染症にかからないようにすること、あるいは早期治療により症状が軽度なうちに抑えることが予防方法となります。
具体的には、同居猫も含め猫ヘルペスウイルス感染症にまだかかっていない猫では、感染猫との接触を避けるために完全室内飼育を行うことが大切です。
すでに猫ヘルペスウイルス感染症にかかってしまっている猫では、眼症状などが現れたら早めに動物病院を受診し、早期治療を行いましょう。
重症化やさらなる眼疾患の発症を抑えることができるかもしれません。
さらに、前述の通り、猫ヘルペスウイルス感染症にかかっていなくても好酸球性角結膜炎を発症することはあります。
目などに異常な様子がみられたら動物病院に連れて行きましょう。
猫が好酸球性角結膜炎になってしまったら
好酸球性角結膜炎の治療では、
・ステロイドの点眼や内服
・シクロスポリン(免疫抑制剤)の点眼
などが行われます。
同時に抗生剤の点眼や内服、猫ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬などを投与することも多いです。
猫カリシウイルス感染症や猫ヘルペスウイルス感染症で使用することのあるインターフェロンを点眼などで使用することもあります。
酢酸メゲストロールという薬を内服することもありますが、糖尿病などの副作用が現れやすく、投与は慎重に行われます。
日頃から目や猫の様子を観察し、異常があれば早めに動物病院を受診しましょう。