犬の眼球の脱出とは
眼球の脱出は、眼球の一部が通常の範囲を超えて、目の穴から出てしまっていることをいいます。
眼球が納まる目の穴が浅い、まぶたの横幅が長い、眼球がもともと出ている傾向にある犬種で起こりやすいです。
眼球の脱出は、外傷が原因などで起こっていて整復可能であれば、早急に処置をする必要のある目の救急疾患です。
犬の眼球の脱出の症状
眼球の脱出では、見た目で眼球が異常に出てしまっていることが分かります。
周りの組織で、損傷や充血、血がたまっている様子などが見られるかもしれません。
時間の経過が長いほど、眼球や周りの組織の出ている部分が乾燥したり、細胞が死んで色が変わってしまったりする場合もあります。
犬の眼球の脱出の原因
ほとんどが咬傷や交通事故などの外傷によるものですが、眼球をおさめる穴の中に腫瘍や膿の袋(膿瘍:のうよう)ができて、それが眼球を前方に押し、眼球が突出することもあります。
眼球の脱出の原因
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外傷
- 咬傷
- 交通事故
- 腫瘍
- 膿瘍
など
眼球の脱出の検査は以下のようなものが挙げられます。
眼球が脱出したときの検査
- 視診
- 対光反射※
- 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
など
※対光反射とは、目に光を当て、左右の瞳孔の変化を見ることで神経の障害がないかを見る検査
目をしっかり観察し、瞳孔の確認、周辺の組織に障害の有無などを確認します。
麻酔をかけて処置を行う前に、麻酔をかけられる状態かを調べるために、血液検査などを行うことが多いです。
交通事故等の外傷であれば、顔面の骨が骨折していないかなどをみるために、X線検査を行い、全身の状態を確かめるために各種検査が行われます。
他にも、原因に合わせて、さらなる検査が必要であれば、その都度行います。
犬の眼球の脱出の予防方法
眼球の脱出は、ほとんどの例で外傷が原因となります。
他の犬との激しいけんかや、他の犬や猫を追いかけるなど、突発的に道路に飛び出して、交通事故になることもあります。
散歩中には必ずリードを付けて、けんかや突発的に興奮するような状況を事前に避けること、散歩中は犬をしっかりとコントロールすることが重要になります。
眼球が突出してしまった場合は、すぐに動物病院に連絡し連れて行きます。
連れて行く間に飼い主様ができる処置があれば、獣医師の指示に従いましょう。
犬の眼球が脱出してしまったら
眼球が脱出しているときは、目の穴の中の腫瘍や、膿の袋である膿瘍が原因になっていることがありますが、ここでは、目の穴には疾患がない、外傷などが原因の場合の治療について説明します。
眼球が脱出し、腫瘍や膿瘍など眼球を後ろから押すものがないのであれば、早急に眼球を納めることが必要です。
眼球脱出の際に、神経を損傷し、失明してしまうこともあります。
眼球を納めた後は、再度眼球が飛び出さないように上下のまぶたを縫い合わせ、その後数週間、抗生剤や抗炎症剤などを内服します。
眼球が重度に破裂してしまっている場合や、眼球を目の穴に戻すことができない場合などは、最終的に眼球摘出を考慮します。
眼球は視神経の繋がっている後ろの部分が弱く割れやすいです。
眼球がその部分で割れていても、眼球の位置を元に戻すことができるのであれば元に戻し、その後経過を見て必要であれば、眼球摘出を行うことがあります。
これは、眼球が破裂した部分が周りの組織と癒着することで、眼球摘出をしなくていいケースもあるためです。
眼球の脱出には早急な対処が必要となります。 眼球が脱出してしまうようなことがあれば、動物病院に連絡し、すぐに動物病院に連れて行きましょう。