犬の逆さまつ毛とは
逆さまつ毛とは、本来外側を向いているまつ毛が眼球に向かって生え、眼球を刺激するようなまつ毛のことです。
逆さまつ毛の状態になるのに、
- まぶたが内側に巻き込んでいる場合(眼瞼内反症:がんけんないはんしょう)
- まつ毛の方向や位置が本来とは異なる場合
があります。
前者の眼瞼内反症はまぶたの異常ですが、後者はまつ毛の異常です。
ここではまつ毛の異常について説明していきます。
まつ毛の方向や位置が本来とは異なるものとして、
- 異所性睫毛(いしょせいしょうもう):本来生えないような場所に生えているまつ毛
- 睫毛重生(しょうもうじゅうせい):通常のまつ毛の少し内側に重なるようにまつ毛が生えている状態
- 睫毛乱生(しょうもうらんせい):本来とは違う方向に(眼球に向かって)まつ毛が生えている状態
があります。
※睫毛(しょうもう)とはまつ毛のこと。
犬の逆さまつ毛の症状
逆さまつ毛の症状として、以下のようなものが挙げられます。
逆さまつ毛の症状
- 目をまぶしそうに細める、瞬きが増える
- 白目が充血する
- 涙っぽくなる
- めやにが増える
- 目を閉じ気味にする
- 角膜※の表面に白っぽい部分ができる
など
※角膜:黒目の部分をおおっている一番外側の透明な部分
まつ毛が角膜や眼球を刺激することにより、痛みや違和感などが出ます。
また、瞬きのたびに同じ場所に刺激が加わり続けるので、角膜炎や結膜炎、角膜の傷などを引き起こすこともあります。
犬の逆さまつ毛の原因
逆さまつ毛の原因は、ほとんどが生まれつきのものです。
逆さまつ毛の検査は以下のようなものが挙げられます。
逆さまつ毛の検査
- 視診
- フルオレセイン染色(角膜染色)
など
視診とは、まぶたをめくり上げ、ライトを当てて眼球に刺激になるような異常なまつ毛がないかを調べます。
角膜に傷がついていないかを確認するためにフルオレセイン染色を行うこともあります。
犬の逆さまつ毛の予防方法
逆さまつ毛の予防方法はありません。
目が赤いなどおかしい様子がみられたら、動物病院を受診しましょう。 異常なまつ毛を発見できれば、症状が出る前に動物病院で定期的に抜くなどの対処もできます。
犬が逆さまつ毛になってしまったら
逆さまつ毛はまぶたの異常(眼瞼内反症)とまつ毛の異常によるものがあります。(まぶたの異常によるものについては「眼瞼内反症」をご参照ください)
まつ毛の異常による逆さまつ毛については、軽度なものであれば、点眼麻酔をしてその場で抜きます。 以降は症状が出る前に定期的に抜きます。
逆さまつ毛により、結膜炎や角膜炎、または角膜潰瘍(かいよう)ができているときは、
- 抗生剤の点眼
- 角膜保護作用のある点眼
- または軟膏
などで治療を行います。
生えている場所が複数か所であったり、毎回症状が重くなったりするものに関しては、凍結手術や結膜ごとの切除などで毛根から除去します。
逆さまつ毛は異常に気付き、まつ毛の異常を発見することが第一となります。 目が赤い、涙っぽく目を閉じ気味にしているなどいつもと違う様子がみられたら、動物病院に連れて行きましょう。