犬の炎症性大腸ポリープとは
犬の炎症性大腸ポリープとは、炎症性結直腸ポリープともいわれます。
炎症性大腸ポリープは、国内のミニチュア・ダックスフンドに集中して起こっています。
基本的に、直腸や結腸(大腸)に、複数のポリープができます。
ポリープは1つのこともありますし、大型のポリープができていることもあります。
炎症性大腸ポリープでは、腫瘍ではなく、重度の炎症がみられます。
なお、炎症性大腸ポリープは、中高齢に多く起こります。
犬の炎症性大腸ポリープの症状
犬の炎症性大腸ポリープの症状は、以下のようなものがあります。
炎症性大腸ポリープの症状
- しぶり
- 血便
- 軟便
- 下痢
など
炎症性大腸ポリープにより、犬がいきんだりして、直腸の一部が肛門の外に出てしまう直腸脱を起こす例もみられます。
一般的に、炎症性大腸ポリープで元気や食欲が落ちることは少ないといわれていますが、
- 元気低下
- 食欲不振
- 発熱
などの症状がみられることもあります。
犬の炎症性大腸ポリープの原因
炎症性大腸ポリープの原因は、詳しくは分かっていません。
免疫の異常が関わっていると考えられています。
炎症性大腸ポリープの検査は、以下のようなものがあります。
炎症性大腸ポリープの検査
- 直腸検査
- 糞便検査(特殊検査も含む)
- 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
- 病理組織検査
など
状況や症状により検査が選ばれ、上記以外にも必要な検査があれば行われます。
犬の炎症性大腸ポリープの予防方法
炎症性大腸ポリープの根本的な原因は分かっていないため、予防方法は特にありません。
排便の様子や便の状態がおかしいときは、動物病院を受診しましょう。
犬が炎症性大腸ポリープになってしまったら
炎症性大腸ポリープの治療は、基本的には、ステロイド剤やシクロスポリン、レフルノミドなどの免疫抑制剤が投与されます。
同時に抗生剤を投与されることも多いです。
治療に反応すれば、症状の改善や、ポリープの数の減少または消失がみられます。
治療に反応しなければ、投与する免疫抑制剤の種類を切り替えることもあります。
ポリープが大型でない場合は、ポリープや直腸の切除は基本的に行われません。
ただ、
- 治療に反応しない
- 大型のポリープがある
- 直腸脱(直腸が肛門外に出ている)を起こしている
- 治療に一時的に反応したが、悪化・再発が見られた
などの場合では、検査や治療を兼ねて、
- 内視鏡(内視鏡下で大型ポリープを切除することもある)
- 直腸の外科的切除(粘膜または全体)
が行われます。
これは、
- 治療に反応しない大型のポリープは免疫抑制剤ではなくならないこと
- ポリープにより、直腸脱の整復ができない、または再発の可能性が高いこと
-
炎症性大腸ポリープが、後に腺癌になる例もみられること
(腺癌の治療は炎症性大腸ポリープと異なり、検査で確認する必要がある)
などの理由によるためです。
そのため、経過により、内視鏡検査を繰り返す場合もありますし、手術をした方がいい場合もあり、状況により判断されます。
免疫抑制剤を減量していくと、再発や悪化することも多くあり、炎症性大腸ポリープでは、疫抑制剤の継続が必要になる可能性が高いです。
長期間の免疫抑制剤の投与による副作用を抑えるため、
- いい状態を維持できる免疫抑制剤の最低投与量にする
- 比較的副作用の少ない免疫抑制剤を中心になるようにしていく
ことを目指します。
血便やしぶり、下痢などが見られた場合、早めに動物病院に連れて行きましょう。