犬の腺腫・腺癌とは
腺腫・腺癌とはそのどちらも腺細胞の腫瘍(しゅよう)で、良性腫瘍を腺腫(せんしゅ)、悪性腫瘍を腺癌(せんがん)といいます。
腺細胞はさまざまな分泌を行い、それが集まり腺を構成します。
腺細胞は体のあらゆる場所にあり、消化を助ける成分や、体の状態維持に必要なホルモン、耳や鼻、眼(涙)などの表面の分泌液、また子宮や前立腺などで生殖に関わる分泌液などを分泌しています。
腺細胞は分泌を行う場所に存在し、腺腫・腺癌は腺細胞が腫瘍化するので、体のさまざまな部位で発生します。
犬の腺腫・腺癌の症状
症状として、良性腫瘍である腺腫では出血や、腺腫が大きくなったことによる局所的な圧迫、通り道を塞ぐなどの物理的障害による症状がみられます。
一方、悪性腫瘍である腺癌では腺腫と同じく出血や局所的な圧迫、物理的障害はみられますが、それに加えて元気消失、食欲不振、体重減少、栄養不良などの全身的な症状が現れます。また、癌が潰瘍(かいよう)化(深い傷ができる)したり、そこから細菌感染が起きたりすることもあります。
腺癌が発生するのは以下のような部位が挙げられます。
また、腺腫・腺癌においてどちらも腫瘍がどの部位に発生したかにより、異なる症状が現れます。
例えば、胃腸で腺腫や腺癌ができれば嘔吐や下痢などの症状が出てきますし、鼻腔で腫瘍ができれば鼻出血や鼻呼吸の障害、顔面変形などが現れます。
犬の腺腫・腺癌の原因
腺腫・腺癌の明確な原因は詳しく分かっていません。
腺腫・腺癌の検査は以下の通りです。
腺腫・腺癌の検査
- 触診
※体を触って痛みや異常なしこりなどないかを調べる - 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
- CT検査/ MRI検査
- 病理組織検査
など
犬の腺腫・腺癌の予防方法
腺腫・腺癌の原因は詳しく分かっておらず、そのため予防方法もこれといったものはありません。
腫瘍では早期発見・早期治療が重要になるので、何かおかしい様子が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。
また、日ごろから全身のチェックをこまめに行い、耳や乳腺などにもしこりやできもののようなものがないかを見たり触ったりして確認しましょう。
犬が腺腫・腺癌になってしまったら
腺腫・腺癌のそれぞれの治療は以下の通りです。
●腺腫(良性腫瘍)の治療
腺腫では外科的切除が行われます。
腺腫は良性腫瘍であり、切除後の経過も良好であることが多いです。
●腺癌(悪性腫瘍)の治療
腺癌では、
- 外科的切除
- 放射線療法
- 化学療法(抗がん剤)
などが単独、または複合して行われますが、外科的切除が治療の主軸となります。
腺癌は転移率が高く、外科的切除が行えても、転移により厳しい経過をたどることも多いです。
治療の組み合わせは腺癌のできた部位や病状の進行具合、転移の有無、飼い主様の状況によって選択されます。獣医師とよく相談して治療方針を決めていきましょう。
腺腫・腺癌は早期発見・早期治療が大切なので、おかしい様子やしこりやできものに気付いたら、早めに動物病院を受診しましょう。