犬の軟骨肉腫とは
軟骨肉腫とは、骨のがん(悪性腫瘍)です。軟骨肉腫では未熟な軟骨細胞や軟骨を構成する成分が異常に増殖します。
骨でできるがんは、骨以外の臓器で発生したがんが骨に転移するものと、骨自体で発生するがんがあります。後者の骨のがんは主に骨肉腫、軟骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫がありますが、発生のほとんどを骨肉腫が占め、軟骨肉腫は骨肉腫の次に多い骨のがんです。
犬の軟骨肉腫の症状
軟骨肉腫の症状は、同じく骨のがんである骨肉腫に症状が似ています。
軟骨肉腫が最も発生しやすい場所は鼻腔で、四肢の骨の中では大腿骨です。
他には骨盤や肋骨などにもみられ、まれではありますが骨以外では乳腺や心臓にも発生することがあります。
軟骨肉腫の症状は以下のようなものがあります。
軟骨肉腫の症状
- 足を地面になるべく着けないようにする
- 足を完全に挙げている
- 歩くのを嫌がる
- 患部が腫れる
- 顔面の変形(鼻腔)
- 体重減少
など
他の骨のがんと同様に、軟骨肉腫でも病的な骨折を起こすことがあります。
犬の軟骨肉腫の原因
軟骨肉腫の明確な原因は分かっていませんが、軟骨肉腫を発生した犬の中で多い犬種は以下のようなものが挙げられます。
軟骨肉腫の中で多い犬種
- ゴールデン・レトリバー
- ジャーマン・シェパード
- ボクサー
軟骨肉腫になりやすい年齢は6~9歳ごろに多いといわれています。
軟骨肉腫の検査は以下のようなものがあります。
軟骨肉腫の検査
- 触診
- X線検査
- CT検査
- 生検
※麻酔をかけ検査のために患部の組織を採取する - 病理組織検査
※組織の塊から標本を作り病気の種類や細胞の状態を見る
など
病理組織検査で軟骨肉腫の組織学的グレード(悪性度)がⅠ~Ⅲまで分けられ、それにより転移率の高低についてある程度参考にできるという報告もあります。
犬の軟骨肉腫の予防方法
軟骨肉腫の原因は分かっていないため、軟骨肉腫を予防する方法はありません。
いつも膨らまないようなところが膨らんでいたり、歩き方がおかしかったりするなど異常が見られた場合は早めに動物病院に連れて行きましょう。
犬が軟骨肉腫になってしまったら
軟骨肉腫の治療は外科的切除を行います。四肢の骨に発生すると断脚などの方法がとられます。
発生部位が鼻腔でない軟骨肉腫では、治療をしていない例に比べて断脚を行うことによって生存期間が大幅に延長している例も多いようです。
また、鼻腔の軟骨肉腫では外科的切除や放射線療法を行います。
なお、化学療法や放射線療法単独での治療は、生存期間の延長に寄与するかは明らかではありません。
軟骨肉腫は骨の悪性腫瘍(しゅよう)のほとんどを占める骨肉腫に比べて、転移もそれほど早くなく、進行もゆるやかです。
異常が見られたら早めに動物病院を受診し、早期発見・早期治療をしていきましょう。