犬の組織球肉腫とは
組織球肉腫とは、組織球という免疫に関わる細胞の悪性腫瘍です。
組織球が増殖する疾患はさまざまあり、大きく分けて、
に分けられます。
皮膚組織球腫が最も発生がよくみられ、一般的です。
組織球肉腫や反応性組織球症の発生はあまり多くありません。
組織球肉腫にかかりやすい犬種として、
- バーニーズ・マウンテン・ドッグ
- ロットワイラー
- フラットコーテッド・レトリーバー
- ゴールデン・レトリーバー
- ラブラドール・レトリーバー
が挙げられます。
中年齢から高齢の犬での発症が一般的ですが、若齢で発生することもあります。
組織球肉腫は、急速に広がり、転移を起こす悪性度の高い腫瘍です。
また、組織球肉腫の仲間で特殊な型(組織球肉腫の亜型)として、血球貪食性組織球肉腫といわれる腫瘍もあります。
血球貪食性組織球肉腫は、脾臓や骨髄で腫瘍がみられ、貧血や血小板減少、多臓器不全などがみられます。
この腫瘍は、組織球肉腫よりさらに、攻撃的な動きや経過をとる腫瘍であるといわれています。
外科手術や抗がん剤での治療が行われますが、積極的な治療を行っても、生存期間が1カ月に満たないこともあるほど、進行が急激な腫瘍です。
犬の組織球肉腫の症状
転移の有無や進行度、合併症の発症などにより、症状は幅広いです。
組織球肉腫の症状は、以下のようなものが挙げられます。
組織球肉腫の症状
- よく寝ている
- 食欲低下
- 体重減少
など
発生部位や状態により、症状は多様ですが、貧血や呼吸器症状、消化器症状が現れることもあります。
組織球肉腫は一般的に悪性度が高く、転移率も高いです。
組織球肉腫はさまざまな場所に発生し、最初に発生する部位としては、脾臓、肺、中枢神経系、骨髄、皮膚や皮下などが挙げられます。
転移の部位も多岐にわたりますが、中でも肝臓や肺はどの部位で組織球肉腫が発生しても転移しやすい部位です。
犬の組織球肉腫の原因
組織球肉腫の詳しい原因は分かっていません。
組織球肉腫の検査は、以下のようなものがあります。
組織球肉腫の検査
- 触診
- 血液検査
- 腫瘍の細胞診※
- X線検査
- 超音波検査
- 神経学的検査
- 病理組織検査
- CT検査/MRI検査
など
※腫瘍の細胞診とは、腫瘍に針を刺し、採取できた細胞を顕微鏡で観察する検査。
全身の状態の把握や、転移の有無などを調べるために、さまざまな検査を行います。
犬の組織球肉腫の予防方法
組織球肉腫の予防方法はありません。
犬におかしい様子があれば、動物病院に連れて行きましょう。
犬が組織球肉腫になってしまったら
組織球肉腫が発生する部位が一カ所で、切除可能であれば、外科的切除が行われます。
それと合わせて、抗がん剤が使用されることもあります。
腫瘍の発生が一カ所の場合、部位によっては、放射線療法も選択肢に入ります。
さまざまな部位で腫瘍が発生している組織球肉腫では、抗がん剤が投与されます。
治療を行って余命は数カ月から半年ほどといわれています。
合併症や体の状態を改善するための治療も並行して行われます。
犬にいつもと違う様子があれば、早めに動物病院に連れて行きましょう。