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肛門のうアポクリン腺癌

肛門のうアポクリン腺癌

犬の肛門のうアポクリン腺癌とは

肛門のうには、アポクリン腺という体液を分泌する細胞があります。
肛門のうとは、肛門の近くにあるにおい袋で、肛門を中心として4時と8時の方向に左右存在します。
肛門のうは、独特の臭いのする分泌液をためている袋状の器官で、便の排泄時などに一緒に分泌液が排泄され、マーキングの役割を果たします。
この分泌液は、肛門のうの壁に多数あるアポクリン腺から分泌されています。
このアポクリン腺の細胞ががん化したものを、肛門のうアポクリン腺癌といいます。

肛門のうアポクリン腺癌の発生はまれで、高齢の犬でよくみられます。
肛門のうアポクリン腺癌の発生は、性別で差はみられないといわれています。
ただ、高齢の雌犬での肛門周囲の悪性腫瘍(がん)の中では、肛門のうアポクリン腺癌が最も多いです。

肛門のうアポクリン腺癌は転移率が高く、診断時に転移が認められる例が半数以上と報告されています。
特に、腰下リンパ節への転移は、比較的早い段階からよくみられます。

※リンパ節とは、免疫に関わる細胞が集まる場所で、腰下リンパ節とは、膀胱や直腸の近くの下腹部にある複数のリンパ節を指す。

遠隔転移(がんの発生源から離れた器官への転移)では、肺や肝臓、脾臓、骨などへ転移します。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の症状

肛門のうアポクリン腺癌の症状は、 肛門周囲を気にする、なめる お尻を地面にこすりつける 肛門周囲の一部が膨らんで見える 肛門周囲の皮膚の赤み、出血 などが挙げられます。

また、腰下リンパ節の転移により、腰下リンパ節が大きくなると、直腸を圧迫することで、 しぶり 便が細い 排便困難 などの変化がみられることもあります。

さらに、肛門のうアポクリン腺癌では、腫瘍に関連する症状として、高カルシウム(Ca)血症もしばしばみられます。
これは、血中のCa濃度を上昇させる上皮小体ホルモンに似た物質を、腫瘍が大量に出すことにより、起こります。
リンパ腫でも同じような働きがみられることがあります。)

高Ca血症では、 尿の量が多く、水をよく飲む 食欲がない 元気がない などの症状が現れます。

高Ca血症は、腎障害も引き起こします。
転移や高Ca血症は、腫瘍がそれほど大きくなくても、発生することがあります。
そのため、他の機会での身体検査や血液検査(高Ca血症)などで発見されることもあるようです。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の原因

肛門のうアポクリン腺癌が発生する原因は、分かっていません。

肛門のうアポクリン腺癌の検査は、以下のようなものがあります。

<肛門のうアポクリン腺癌の検査>

触診 視診 直腸検査 尿検査 血液検査(特殊検査も含む) 細胞診 X線検査 超音波検査 CT検査 病理組織検査 など

細胞診とは、腫瘤に針を刺して細胞を採取し、顕微鏡でどのような細胞がみられるかを調べる検査で、診断の補助として行います。
病理組織検査は、全身麻酔で腫瘍の切除を行った後に、その組織を顕微鏡で観察します。
肛門のうアポクリン腺癌は、転移率が非常に高い腫瘍なので、この腫瘍の疑いのある場合は、超音波検査やX線検査で転移がないかも調べます。
上記以外にも必要な検査があれば行われます。

犬の肛門のうアポクリン腺癌の予防方法

肛門のうアポクリン腺癌の予防方法は特にありません。
いつもと犬の様子が違うなどあれば、動物病院を受診しましょう。

犬が肛門のうアポクリン腺癌になってしまったら

肛門のうアポクリン腺癌は、基本的に外科的切除が基本的な治療になります。

高Ca血症がある場合は、輸液などで状態を安定させてから行います。

リンパ節への転移がみられる場合は、他への転移防止や、直腸の圧迫による排便困難を防ぐため、可能であればリンパ節の切除もできる限り行われます。
ただ、腫瘍が大きい場合は特に、完全な切除は難しいことが多いです。
完全に切除できなくても、腫瘍の潰瘍化、感染、リンパ節腫大による排便困難などを防ぎ、症状をやわらげ生活の質を保つために、手術がすすめられることも多いです。

転移率が高い腫瘍なので、放射線療法(術中または術後)、抗がん剤治療(術後)が手術と合わせて補助的に行われたり、手術が難しい場合は、これらが単独でも行われたりします。
手術などを行っても再発や転移の可能性が十分あるので、定期的に診察を受けたり、異常がないか注意したりする必要があります。

肛門のうアポクリン腺癌は、初期にはわかりにくい腫瘍ですが、犬に異常が見られたら、早めに動物病院に連れて行きましょう。

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