犬の反応性組織球症とは
反応性組織球症とは、組織球という免疫に関わる細胞が増殖する病気のひとつです。
組織球が増殖する疾患には、反応性組織球症の他に、
- 皮膚組織球腫
- 組織球肉腫
などがあります。
皮膚組織球腫は組織球の良性腫瘍、組織球肉腫は悪性腫瘍ですが、反応性組織球症は腫瘍性疾患ではありません。
組織球の中にも種類があり、それぞれの疾患で増殖する組織球の種類が異なるといわれています。
各疾患で、悪性度や症状、必要となる治療も異なり、反応性組織球症の場合は、
- 皮膚組織球症
- 全身性組織球症
にさらに分類されます。
皮膚組織球症では、症状が皮膚や病変部に関係するリンパ節(免疫細胞の集まる場所)にみられます。
全身性組織球症では、皮膚やその他の器官(リンパ節や内臓など)に病変が現れます。
皮膚以外の部位では、肝臓、脾臓、肺などの臓器や、骨髄、眼、粘膜などが挙げられます。
全身性組織球症は、バーニーズ・マウンテン・ドッグによくみられます。
反応性組織球症は、若齢から中年齢の犬に多いといわれています。
なお、反応性組織球症の発症は、あまりなく、特に全身性組織球症はまれです。
犬の反応性組織球症の症状
反応性組織球症は、皮膚にできた病変が皮膚組織球腫に似ていることもよくあります。
ただ、皮膚組織球腫と違い、反応性組織球症では、
- リンパ節や、皮膚の下の組織や筋肉まで病変がおよぶこと
- 病変が大型になる傾向があること
- 複数の病変ができること
も多いです。
犬の状態は、病気の重症度などにより異なります。
反応性組織球症の症状は、以下のようなものがあります。
反応性組織球症の症状
- 皮膚の赤み
- かさぶた
- 複数カ所の皮膚の結節(塊)や潰瘍(かいよう)
- 元気がない
- 食欲がない
- 体重減少
など
症状は、軽度なものから、犬の状態が著しく悪いものまで、幅広いです。
犬の反応性組織球症の原因
反応性組織球症は、免疫システムの障害により、組織球系の細胞が増殖すると考えられていますが、詳しいことは分かっていません。
反応性組織球症の検査は、以下のようなものが挙げられます。
反応性組織球症の検査
- 触診
- 病変部の細胞診(顕微鏡で病変部の細胞を観察)
- 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
- 病理組織検査※(免疫染色含む)
など
※病理組織診断は、生検で採取した病変部の組織を顕微鏡で観察する検査。
反応性組織球症の可能性がある場合は、胸部や腹部に腫瘤がないかなど、しっかりと検査します。
病変の様子、発生部位、経過、各種検査結果など含めて、診断されます。
他にも必要な検査があれば行われます。
犬の反応性組織球症の予防方法
反応性組織球症の予防方法は、特にありません。
異常があれば早めに動物病院に連れて行きましょう。
犬が反応性組織球症になってしまったら
反応性組織球症では、ステロイド剤などの免疫抑制剤が使用されます。
完全に、または部分的に改善が見られますが、その後再発や悪化がみられることも多いです。
全身性組織球症では、改善と再発を繰り返し、治療または病気の経過が長期間になることが一般的です。
治療の効果や犬の状態を確認するために、定期的に診察を行います。
全身性組織球症では、状態の改善と再発を繰り返すこと、または治療の効果がないことなどで、生活の質が著しく低下した場合は、安楽死が選択肢に挙げられる例もみられます。
定期的に体をチェックし、いつもと違う様子があれば、動物病院を受診しましょう。