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眼球のいずれかの部位の細胞が腫瘍化し、眼球に腫瘍ができます。
眼球の模式図は、以下のようになります。
犬の眼球が発生源となる腫瘍は、虹彩や毛様体にできる黒色腫(メラノーマ)が多いです。
また、黒色腫(メラノーマ)は、黒目と白目の境目あたりに、強膜(白目の膜)から発生することがあります。
毛様体の腺腫(せんしゅ)や腺癌(せんがん)が、黒色腫(メラノーマ)に続き、よくみられます。
※腺腫、腺癌とは、分泌物を分泌する腺細胞が、良性または悪性に腫瘍化したもの。
体内の他の部位のがんが目に転移して、眼球の腫瘍が発生することもあり、その場合はリンパ腫が代表的です。
眼球の腫瘍の症状は、さまざまです。
黒目と白目の境目(角膜縁)の白目側(強膜)に黒色腫(メラノーマ)が浸潤することがよくみられます。
目の中(虹彩など)に肉の塊のようなものが見られる 黒目と白目の境目の白目側に黒い部分が出てきた 目が赤く充血している 目が白く濁っている まぶしそうに目を細める など
眼球の腫瘍では、 ブドウ膜炎 緑内障 前房出血 網膜剥離 などが起こることがあります。
眼球の腫瘍が発生する明確な原因は、分かっていません。
眼球の腫瘍の検査は、以下のようなものが挙げられます。
視診 細隙灯検査(スリットランプ検査) 眼圧検査 眼底検査 血液検査 超音波検査(眼球含める) X線検査 CT検査/MRI検査 病理組織検査 など
症状や起こっている疾患(ブドウ膜炎など)により、上記以外の検査も行われます。
眼球の腫瘍の中には、症状やブドウ膜炎、緑内障だけがみられ、一般的な診察でできる検査結果からは、腫瘍だとはっきりと分からないこともあります。
眼球摘出などを行った後に、病理組織検査で腫瘍の有無や種類などを判断します。
そのため、病変(または眼球)を摘出した際は、病理組織検査に出すことが、治療方針の決定や経過の予測にとって大切です。
眼球の腫瘍の予防方法は特にありません。
日頃から目や犬の様子などもよく観察し、異常があれば動物病院を受診しましょう。
犬の眼球の腫瘍の多くを占める黒色腫(メラノーマ)は、良性のことがほとんどです。
ただ、良性腫瘍であっても、放っておくと、腫瘍が大きくなる、眼内出血を起こす、強膜を突き破り、目を入れている目の穴の骨までしみこむ場合などがあります。
そのため、どのような治療を行うか、獣医師とよく話し合う必要があります。
眼球の腫瘍に関して、犬では、 部分摘出 眼球摘出 凍結手術 レーザー治療 などの方法が挙げられます。
どの病院でも行えるわけではない治療法も含まれており、眼科の専門医に紹介されることもあります。
腫瘍の種類や状態によっては、摘出術を行った上で、化学療法(抗がん剤)など補助的な治療を行うことが提案されます。
他の部位で発生したがんの転移である場合、その治療も含めて行われます。
眼球に転移するがんで代表的なリンパ腫は、化学療法(抗がん剤)が主に行われる腫瘍です。
ブドウ膜炎や緑内障が起こっている場合は、点眼などの治療も並行して行われます。
摘出後も、腫瘍によっては、定期検診を行う場合もあります。
眼球の腫瘍は、早期発見・早期治療が重要です。
目に異常がみられたら、早めに動物病院に連れて行きましょう。