犬の眼瞼腫瘍とは
眼瞼(がんけん)とはまぶたのことで、眼瞼腫瘍とは、まぶたにある細胞が腫瘍化し、良性または悪性腫瘍となったものをいいます。 悪性がほとんどといわれる猫の眼瞼腫瘍とは異なり、犬の眼瞼腫瘍の良性の割合は、約7~8割程度と考えられています。
まぶたの腫瘍は犬ではよくみられ、最初は小さいので、そのまま放っておきがちです。 最初は小さくても、いつの間にか大きくなっているということもよくみられます。 そうなると、手術での切除が難しくなったりする場合があります。 目の周りも日頃からよく観察し、早めに動物病院に連れて行くことが重要になります。
犬の眼瞼腫瘍の症状
まぶたにしこりやできものができていることにより、発見されることがほとんどです。 分かりやすくできものができていることが多いですが、まぶたのラインが眼球側に一部膨らんでいることで気付くこともあります。 腫瘍自体やその周辺が、えぐれて傷のようになったり、出血していたりする例もみられます。
他には、まばたきの際などに腫瘍の物理的な繰り返す刺激で、結膜炎、角膜潰瘍、角膜炎などになることもあります。 これらの症状には、目が赤い、目やにが多く出る、目を細く閉じ気味にする、まぶしそうに目を細めるなどが挙げられます。
犬の眼瞼腫瘍の原因
まぶたに腫瘍ができるメカニズムは、詳しくは分かっていません。
まぶたの良性腫瘍には、
- マイボーム腺※の腫瘍
- 良性黒色腫(メラノーマ)
- パピローマ(乳頭腫)
など
※マイボーム腺とは、まぶたの縁にあり、涙の膜を形成する分泌物を出す腺。
が挙げられます。
悪性腫瘍では、悪性黒色腫(メラノーマ)が多いといわれています。
腫瘍と似た症状が現れるものとして、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)や霰粒腫(さんりゅうしゅ)などがあります。 麦粒腫、霰粒腫は、人では「ものもらい」ともいわれ、まぶたの縁にあり分泌物を出すマイボーム腺の炎症です。
眼瞼腫瘍の検査は、以下のようなものがあります。
眼瞼腫瘍の検査
- 視診
- 視診
- 細胞診
- 病理組織検査
など
細胞診とは、腫瘍や傷口の細胞をスライドグラスに乗せ、顕微鏡で観察する検査です。 病理組織検査は、腫瘍の塊が必要になるので、腫瘍切除後に行われます。 何の腫瘍であるかにより、経過などが大きく変わるので、病理組織検査を行うことがすすめられています。 症状や状態などによっては、他の眼科検査や、CT検査、MRI検査なども実施することがあります。
犬の眼瞼腫瘍の予防方法
眼瞼腫瘍の予防方法は特にありません。 まぶたに腫瘍を見つけたら、まず動物病院に相談しましょう。
犬が眼瞼腫瘍になってしまったら
まぶたの腫瘍の基本的な治療方法は、外科的切除です。 大きくなればなるほど、切除手術が難しくなります。 腫瘍が大きくなる、または眼球に接する場所に腫瘍ができると、角膜潰瘍など他の異常も出てきます。 悪性腫瘍の場合、再発や転移の可能性もあるので、状況により外科的切除以外にも治療を行うこともあります。
長期的に大きさが変わらず、特に症状が出ていない腫瘍で、良性の可能性が高い場合は、犬の状態や年齢、飼い主様の希望などにより、手術を行わず経過を観察することもあります。 経過を観察することになった場合も、大きくなったり、新たな症状が出てきたりしないか、しっかり観察しましょう。
眼瞼腫瘍は早期発見・早期治療が大切です。 日頃から目も含め、定期的に犬の体や様子をよく観察しておき、異常があれば動物病院を受診しましょう。