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膀胱腫瘍

膀胱腫瘍

犬の膀胱腫瘍とは

膀胱は、腎臓で作られた尿が尿管を通り、一時的に貯留される場所です。
膀胱腫瘍は、膀胱で発生した腫瘍で、良性と悪性に分かれます。

膀胱腫瘍は、悪性腫瘍であることが多く、中でも移行上皮癌(いこうじょうひがん)という悪性腫瘍がほとんどを占めます。
膀胱内部の粘膜表面の細胞である上皮細胞は、移行上皮と呼ばれる種類のものです。
その移行上皮細胞ががん化したものが、移行上皮癌です。

移行上皮癌は「膀胱三角(ぼうこうさんかく)」と呼ばれる、膀胱内部の左右にある尿管の穴と尿道の穴を結ぶ三角形の領域に発生しやすいといわれています。

<膀胱三角の模式図>

膀胱三角の模式図 膀胱三角の模式図

移行上皮癌は、転移しやすい腫瘍です。

なお、膀胱の移行上皮癌は、シェットランド・シープドッグやビーグルでよくみられるといわれています。
雌犬で多く、老齢での発生がよくみられます。

悪性腫瘍以外では、ポリープや良性腫瘍がみられます。
ポリープは、慢性の炎症(膀胱炎)によりできたりします。

この記事では、膀胱の悪性腫瘍で最も多い、移行上皮癌を中心に説明します。

犬の膀胱腫瘍の症状

膀胱腫瘍の症状には、 尿が赤い 尿量が少ない ひっきりなしに排尿姿勢を取る などがあります。

これは膀胱炎での症状にもよく似ており、抗生剤の投与で一時的に症状がやわらぐ例もみられます。

膀胱腫瘍が尿管や尿道を巻き込むと、尿が通る道がふさがれ、
尿管がふさがれると、水腎症 尿道がふさがれると、尿道閉塞 になることもあります。

※尿道閉塞とは、急性腎不全に移行し、短時間で死に至ることもある緊急的な状態。

移行上皮癌は、転移率が高く、近くのリンパ節、肺、ときに骨などにも転移します。

※リンパ節とは、免疫に関わる細胞が集まる場所。

肺への転移が進行すると呼吸が速くなる症状や、骨へ転移すると足をかばって歩く、足を痛がるなどの症状が現れます。

犬の膀胱腫瘍の原因

膀胱の移行上皮癌の原因は、はっきりとは解明されていません。

膀胱腫瘍の検査は、以下のようなものが挙げられます。

<膀胱腫瘍の検査>

触診 尿検査 血液検査 X線検査(造影検査を含む) 超音波検査 尿の細菌培養・感受性検査 膀胱鏡検査 CT検査 病理組織検査 など

※細菌培養・感受性検査とは、細菌増殖の有無と細菌の種類、有効な抗生剤の特定を行う検査。

必要であれば、上記以外の検査も行われます。

腫瘤の経過をみるために、日を改めて、超音波検査などを複数回することもあります。
膀胱の腫瘤は、カテーテル(医療用の細い管)での細胞の採取、膀胱鏡検査(膀胱の内視鏡)、手術による切除などで細胞や組織を採取し、顕微鏡でどのようなものかを調べます。
膀胱鏡検査やCT検査は特殊な設備が必要であり、行える動物病院は限られます。

犬の膀胱腫瘍の予防方法

膀胱腫瘍の予防方法は、これといったものはありません。
犬や排尿の様子、尿の状態などに異常がある場合は、動物病院を受診しましょう。

犬が膀胱腫瘍になってしまったら

膀胱の移行上皮癌になったときの治療は、外科的治療と内科的治療があります。

外科的治療は、以下のように、 膀胱部分摘出術 膀胱全摘出術 尿路変更術 ステントの設置 などが挙げられます。

※ステントの設置とは、尿管や尿道が腫瘍により塞がれたときの治療法のひとつで、その管を広げておく医療器具(ステント)を設置すること。

腫瘍が膀胱三角(膀胱内の左右尿管口と尿道口が集まる部分)や尿道、尿管を巻き込んでいるかなどにより、手術の方法は異なります。
移行上皮癌は、膀胱三角に発生することが多く、尿管や尿道を巻き込み、排尿できなくなる危険性も大いにあります。
尿管、尿道の閉塞で排尿できなくなると、短時間で重篤な腎不全になり、それにより命を落とすことになります。
そのため、閉塞またはその危険性がある場合は、尿が排泄される道を確保する手術が行われます。

膀胱全摘出術や尿路変更術では、手術の後、常時ぽたぽたと排尿するようになり、おむつが必要となります。
術後のケアや予想される合併症などの説明を含め、治療方針について相談しましょう。
膀胱腫瘍の手術は難易度が高いものもあり、二次診療施設など他の動物病院に紹介されることもあります。

移行上皮癌の内科的治療は、下のように、
抗がん剤 非ステロイド性消炎剤(ピロキシカムなどのNSAIDs) 放射線療法 などがあります。

必要であれば、抗生剤も投与されます。
内科的治療は、外科的治療の補助や、手術をしない場合などに、単独または複数の治療を組み合わせて行います。

膀胱腫瘍の症状は、膀胱炎と似ています。
尿や排尿の様子がおかしい、なかなか治らない、繰り返す症状などがある場合は、動物病院に連れて行きましょう。

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