犬の胃の腫瘍とは
胃の腫瘍は、悪性と良性があり、胃にある細胞が腫瘍化して起こります。
腫瘍は、しみこむように広がっていたり、塊(腫瘤)ができたりします。
高齢(約8歳齢)での発症が多いです。
悪性の腫瘍として、
などが挙げられ、良性の腫瘍として、
- 平滑筋腫
- 腺腫
などが挙げられます。
胃の腫瘍のほとんどが腺癌であり、胃の腺癌は転移率も高い悪性腫瘍です。
犬の胃の腫瘍の症状
胃の腫瘍は、かなり進行しないと症状に現れず、発見されたときには末期の状態である例もよくみられます。
胃の腫瘍の症状は、以下のようなものがあります。
胃の腫瘍の症状
- 食欲不振
- 嘔吐
- 体重減少
- 元気がない
など
胃の腫瘍で最も一般的にみられる症状は、食欲不振です。
嘔吐は、時間を置いて起こる慢性的な嘔吐であることが多いですが、急に嘔吐が見られる場合もあります。
受診するまでの間に、症状は数週間から数カ月間続くこともよくみられます。
胃の腫瘍は、胃潰瘍(いかいよう)を引き起こすことがあり、出血した場合は、吐物に血や黒茶がかったカスのようなものが混じっていたりします。
犬の胃の腫瘍の原因
胃の腫瘍の原因は、分かっていません。
胃の腫瘍の検査は、以下のようなものが挙げられます。
胃の腫瘍の検査
- 触診
- 血液検査
- 超音波検査
- X線検査(造影検査を含む)
- 内視鏡検査
- CT検査
- 病理組織検査
など
内視鏡は、胃や十二指腸の粘膜面の観察ができたり、開腹手術の前に病変のかけらを採取し、検査を行えたりするので、手術前に行うことも多いです。
転移の有無や全身の状態を把握するため、全身的な検査をします。
必要であれば、上記以外の検査も行います。
犬の胃の腫瘍の予防方法
予防方法は特にありません。 早期発見・早期治療が重要になります。
食欲や嘔吐などの症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
高齢になってきたら、定期的に超音波検査も含めた健康診断を実施することで、早期発見できるかもしれません。
犬が胃の腫瘍になってしまったら
胃の腫瘍の基本的な治療は、外科的切除です。
外科的切除を行う前に、必要であれば入院して全身状態の改善を行います。
ただ、リンパ腫に関しては、主に化学療法(抗がん剤)が実施されます。(リンパ腫でも腫瘍の状態によっては外科的切除も行われることがあります。)
術後合併症が起こることもよくあり、さらに外科的切除後も再発や転移により、悪性腫瘍では、一般的に経過は厳しいといわれています。
胃の腫瘍は発見時には、末期の状態であることも多く、外科的切除が困難であったり、すでに転移していたりします。
早期に発見され転移がなく、完全な切除を行えた場合、腫瘍の種類や状態によっては良好な経過になる犬もいます。
外科的切除を含め、獣医師とよく相談して、治療方針を決めていきましょう。